ブラジルの守護神ノッサ・セニョーラ・アパレシーダの祝日だった12日、ボルソナロ大統領はサンパウロ州アパレシーダの聖母大聖堂でのミサに参加した。そこでは、待機した大統領支持者たちが取材陣に暴力を振い、ミサで神父に対し野次を飛ばすなどの問題行為を行った。12、13日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ氏は12日朝、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテに立ち寄った後、昼過ぎにアパレシーダに到着した。この日のアパレシーダのミサへの参加に関しては、ブラジル全国司教会議(CNBB)が事前に「宗教行事を票獲得に利用している」との批判声明を出していた。
大統領のベロ・オリゾンテ訪問も、テレビの宗教番組で知られるヴァルデミール・サンチアゴ牧師の新しい教会の落成式参加のためだった。一方、大統領選で決選投票を争うルーラ氏はこの日は宗教的な活動を行わず、リオとバイア州サルバドールでのキャンペーン活動だけを行った。
大聖堂はパンデミックによる規制が解除されたこともあり、3年ぶりに満員となった。大統領はサンパウロ州知事候補のタルシジオ・デ・フレイタス氏やサンパウロ州の上議選で当選したマルコス・ポンテス氏らを伴い、大聖堂に到着。大統領に対する会衆の反応は歓声と野次の両方が混在したが、最も問題となったのは、サッカーのブラジル代表のユニフォームを着たボルソナロ氏の支持者たちの言動だった。
まず騒ぎとなったのは、群衆の中にルーラ氏の労働者党(PT)を象徴する赤いシャツを着た青年がボルソナロ氏を挑発するような言動を行った際に取り囲もうとしたことだ。ボルソナロ派の群衆はこの場で「ルーラは泥棒。ブラジル国旗が赤になることはない」という、ボルソナロ氏のキャンペーンのキャッチフレーズを叫んだ。青年は暴行をさけるため、走って逃げ去った。
また、大統領支持者たちは自分たちを撮影しようとしたマスコミに詰め寄り、「おまえたちマスコミはみんな共産主義者だ」と罵倒し、取材者を叩いた上、取材を妨害しようとした。被害に遭ったのはグローボ局系列のヴァングアルダ局、SBT局、UOLサイトの取材班だった。
大統領支持者のマナーはミサの間も問題となった。ボルソナロ氏は14時からのミサに参加。この際も大統領に対する歓声などがあがり、神父らが「静かに」とたしなめる姿も見られた。
また、大統領がいなかった午前中のミサでは、オルランド・ブランデス神父が行った説教に対し、大統領派が野次を飛ばす光景が見られた。同神父は嫌悪を嫌い、貧困が再び社会問題化していることに触れたが、それを大統領批判と解釈した支持者たちが野次を飛ばすという、前代未聞の光景も見られた。
これらの行動は録画され、ネット上に拡散された。これらに対しては、ルーラ氏の副候補のジェラルド・アウキミン氏が「敬意を払うべきだ」と苦言を呈したのをはじめ、批判が相次いだ。
ボルソナロ氏は8日も、パラー州ベレンの伝統的な宗教行事シリオ・デ・ナザレに「政治的な目的で参加した」と批判を浴びた。