ウクライナ危機後、戦争などの理由による難民、移民が一段と増えたが、サンパウロ州グアルーリョス市のクンビッカ国際空港では1月以降、タリバンの手を逃れ、新しい生活を求めてブラジルに来るアフガン難民が後を断たないと9月、10月付現地紙、サイトが報じている。
14日付UOLサイトなどによると、アフガニスタンでは2021年8月のタリバン政権発足以来、国外脱出を図る人が急増。ブラジルが昨年9月に受け入れを約束した事で、今月7日までに発行された人道支援ビザは6299件に上るという。
だが、ブラジルに到着した人々を迎え、然るべき施設に収容したり、仕事を斡旋したりする団体や施設は不十分で、グアルーリョス空港では、支援の手が伸ばされるのを待ち、空港で寝起きする人達が後を絶たない。
11日にイラン経由で到着した人権活動家でエンジニアのムハメド・アリオベエ氏もその一人で、「ここにいるのは皆、アフガニスタンでは命の危険にさらされていた人々」で「命を救い、家族を救うためにここにいる」「収入を得、暮らしていくための小さな仕事があれば」と語る。
アフガン難民を取り巻く現実は厳しく、グアルーリョス空港には今月も1~10日だけで120人以上が到着したが、難民収容施設などに移されるまでには時間を要す。
連邦検察庁は10日に官房長官に文書を送り、国が表明した難民支援なのに国の対応が遅れている事への説明を求めた。検察庁は市民省やサンパウロ州政府、周辺市役所などにも対応を求めており、女性や子供、高齢者を中心に、9月16日にはサンパウロ市の家族用特別収容センター(CAE)に93人、今月13日も54人がサンパウロ州内陸部モルンガバ市に移送されるなど、少しずつ対応が進んでいる。それでも、第2ターミナルでは13日夜も129人が寝起きし、難民キャンプと化している。
13日付G1サイトによれば、1~10月にブラジルに到着したアフガン難民は約1300人で、連邦司法支援局や連邦検察庁は2023年にはこの数字が最大で3倍に達する可能性があると見ている。これら諸機関は、サンパウロ市やグアルーリョス市、サンパウロ州だけでは全難民に対応できず、空港が選に漏れた人達の住処となっている事に懸念の色を隠せずにいる。