ローマ法王候補にもなったことがあるカトリック・サンパウロ州司教区大司教のオジロ・シェレル枢機卿が赤い法衣を着用したことを批判対象にされたことに苦言を呈し、「ファシズムの台頭を思わせるようだ」との発言を行った。17日付現地紙、サイトが報じている。
オジロ大司教はSNSで赤い法衣を着用した写真を使ったところ、「赤は共産主義者の色だ」とし、同枢機卿が大統領選でルーラ氏を支持し、中絶も擁護していると決めつけた批判を受けていた。
大司教はそれ以前から、今回の選挙に関して、「自身の信仰を利用した形で選挙に出馬する候補者が目立っている」との批判的発言も行っていた。
自身への批判が法衣にまで及んだことで、オジロ大司教は16日にそれに対する反論を行った。「もし仮に私の法衣がおかしいと思うのであれば、血の色が何色なのかを思い出して欲しい。それは教会への愛の証であり、殉教も辞さないとの意志を表したものだ」と説明した。
大司教はさらに「今は変な世の中だ。私に時折、独裁主義、とりわけファシズムが再び台頭しつつあるように思えるときがある。冷静さを保ち、物事をしっかり認識することが必要だ」と説いた。
オジロ大司教は2013年、フランシスコ現ローマ法王が選ばれた際の教会会議(コンクラーヴェ)で、法王の有力候補の一人と目された人物でもある。
カトリックと関連した選挙でのトラブルの一つは、12日のノッサ・セニョーラ・アパレシーダの日にサンパウロ州アパレシーダの聖母大聖堂で行われたミサで、サッカーのブラジル代表のユニフォームを着たボルソナロ大統領の信者のマナーの悪さが問題視された。彼らは大聖堂内でビールを飲んで宴会騒ぎを起こし、自分たちを取材していた報道陣に暴行を加え、貧困が増えたことを説教で説いたオルランド・ブランデス司教に野次を飛ばすなどして、社会的な問題となっていた。