熱心なボルソナロ大統領(自由党・PL)支持者のロベルト・ジェフェルソン氏(ブラジル労働党・PTB)が23日、自宅軟禁から刑務所での刑執行への切り替えのために連邦警官が派遣されたことに逆上し、マシンガンや手榴弾で抵抗、警官2人に負傷させた。ネット上で「表現の戦士」と一部から称えられ、支持もあった同氏が、前日の言動も含め、暴力的行動をとったことで波紋を呼んでいる。23、24日付現地紙、サイトが報じている。
ジェフェルソ氏は2012年にメンサロン事件で12年間の実刑判決となり、自宅軟禁中だった。昨年にはマシンガンを抱えて最高裁を威嚇する写真を拡散するなど反民主主義的行為で逮捕された。その後の自宅軟禁中も、ネット上での過激言動は止まらなかった。極右派からは「表現の自由の戦士」との支持があった。
選挙高裁は20日、ジョーヴェン・パン局のコメンテーターが事実に基づかない意見で大統領候補のルーラ氏(労働者党・PT)を批判するのを禁じ、ルーラ氏の反論放送を流すことも命じた。ジェフェルソン氏はカルメン判事がルーラ氏のキャンペーンを手伝っているマリーナ・シウヴァ氏(レデ党)と会食したことに腹を立て、21日にカルメン判事を批判する動画を掲載した。
ジェフェルソン氏は動画でカルメン判事を「売春婦」「魔女」などと罵倒し、物議を醸した。ランドルフ・ロドリゲス上議(レデ党)やエリアネ・ガマ上議(シダダニア党)はジェフェルソン氏の再逮捕を要請。連邦検察庁もそれを求める意向だったため、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が22日に再逮捕を命じた。モラエス判事は選挙高裁長官を兼任中で、カルメン判事も選挙高裁判事である。
23日朝、連警はリオ州コメンダドール・レヴィ・ガスパリアンの同氏宅に向かい、逮捕を試みたが、同氏は連警車両に向けてマシンガンを20発以上連射した上、手榴弾2個(3個との報道も)を投げつけて抵抗した。
これにより、連警のマルセロ・ヴィエイラ氏とカリーナ・リノ・デ・ミランダ氏が銃弾やガラスの破片などで負傷。ヒビだらけになったフロントガラスや車体に残る弾痕などの生々しい映像や写真が拡散された。
これを受け、ボルソナロ大統領は同氏の武器使用を批判。アンデルソン・トーレス法相を派遣するなどして、事態収拾に努めた。
ジェフェルソン氏は約8時間後に投降。連警に連行された後、24日未明に刑務所に移された。同氏の周りには、同氏の代理で大統領選に出馬したケルモン牧師や最高裁侮辱発言などで現行犯逮捕後にPTBに移籍したダニエル・シルヴェイラ下議の姿があった。
ボルソナロ氏はこの後、ファビオ・ファリア通信相との対談動画で「ジェフェルソン氏との写真は一枚も持っていない」、レコルデ局でも「ジェフェルソン氏はPT政権時代にメンサロン事件で逮捕された」と無関係を主張。ただ、両者の関係の深さはかねてから広く知られており、決選投票を1週間後に控えての大打撃となった。
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23日の伯国はロベルト・ジェフェルソン氏逮捕劇とそれに先立つ連警襲撃で、話題が持ちきりとなった。それまでも過激言動で一部の大統領派から熱い支持を得ていた同氏だが、警察への発砲ではさすがに厳しい。そもそも自宅軟禁で受刑中の身でネット投稿し、自宅にマシンガンのみならず手榴弾まで所有していたことが不思議だが。ボルソナロ大統領は同氏と写った写真はなく、友人でもないと言うが、報道陣は公務で会った写真を何枚も紹介。ボルソナロ氏自身がジェフェルソン氏のPTB元党員で、三男のエドゥアルド下議が18歳の頃にPTBで働いていた過去も報じられている。