ジェフェルソン、4件の殺人未遂で起訴=本人も50発乱射認める=ボルソナロの追い上げムードに暗雲か

ジェフェルソン氏とボルソナロ氏(twitter)
ジェフェルソン氏とボルソナロ氏(twitter)

 【既報関連】逮捕に来た連邦警察に対し、マシンガンを連射し、手榴弾を投げつけたロベルト・ジェフェルソン容疑者(ブラジル労働党・PTB)が24日、4件の殺人未遂容疑で起訴された。ボルソナロ大統領(自由党・PL)は無関係を装おうとしているが、関係の否定は難しく、大統領選決選投票への影響が懸念されている。24、25日付現地紙、サイトが報じている。

 ジェフェルソン容疑者が犯行に使った凶器は23日の内に連邦警察によって押収されている。その中には5・56ミリの大型口径の762型マシンガンと銃弾が含まれ、さらにピストルも1丁押収されている。
 同容疑者が連警に語ったところによると、報道では20発以上発砲と報じられていたが、「50発は撃った」と語っている。そして、手榴弾に関しても「三つ投げた」ことを認めている。
 ジェフェルソン氏は銃の所有に関しても、「ペトロポリスに住んでいた頃は100丁ほどの銃を持っていたが、今はさしずめ20〜25丁ほどだ」と語った。押収された銃はCAC(収集家、スポーツ射撃家、狩猟家)として申請したものだが、所有は連邦直轄区内に限られていたなど、違法所持だったことも判明している。
 犯行の動機についてジェフェルソン容疑者は、「警察車両に当ててやろうと思った。警官を殺す意図はなかった」「殺そうと思えばそれはできたと思うが、そうではない」と語っている。だが、この銃弾で逮捕のために派遣された連邦警官のカリーナ・ミランダ氏が股関節と顔に銃弾を受けたほか、手榴弾の破片を臀部に受けた。同僚のマルセロ・ヴィレーラ氏も頭部に手榴弾の破片を受け、頭蓋骨2箇所にヒビが入っていた。カリーナ氏は意識を失った状態で病院に運ばれたという。
 ジェフェルソン氏の攻撃はこの2人だけでなく、無傷に終わった別の警察官2人に対しても行われていた。これにより、ジェフェルソン氏は連警によって4件の殺人未遂容疑で起訴された。
 今回の事件に関して、ボルソナロ大統領支持派はジェフェルソン氏を支持していた。それは、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事による再逮捕命令が、ジェフェルソン氏が21日にカルメン・ルシア判事に対して行った「売春婦」「魔女」などの暴言に対するものと思っていたためだ。だが、本当の逮捕の理由はその件ではなく、ジェフェルソン氏が自宅軟禁中は禁止されているメディアのインタビューや家族以外の人物の訪問を受けたり、SNSを通じて虚報拡散を繰り返したりしていたことによるものだった。
 大統領派の一部は銃撃事件が起きてもなお、ジェフェルソン氏を擁護しようとした。だが、当のボルソナロ氏がジェフェルソン氏を「犯罪者」と呼んで切り捨てたことで支持者たちの間でも動揺が走っている。
 ボルソナロ氏は無関係を装うとしているが、ジェフェルソン氏が元PTB党員でもあるボルソナロ氏を「個人的な友人」と呼んでいること、ボルソナロ氏がPTB党員の応援を得るため「ジェフェルソン氏とは長い付き合いだ」と語っていることなどから関係性の否定は難しい。
 大統領選の決選投票で依然としてルーラ氏にリードされているボルソナロ氏には痛い事件となった。

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 23日の事件以来、ブラジル国内はロベルト・ジェフェルソン氏の連警銃撃事件で持ちきりとなっている。同氏はここ数年、マシンガンを抱えて「最高裁を攻撃する」と威嚇する写真をSNSで拡散したりして社会的に話題になっていた人物だけに反響が大きく、「まさか、本当に人に向かって銃弾を発するとは」とショックを受けた人も少なくない。ネット上では1998年、現在よりはるかに肉付きがよく若かったジェフェルソン氏が、選挙放送で「非武装」を主張する動画も拡散されはじめている。今と全く真反対の姿だが、何が彼をここまで変えることになったのか。
    ◎
 ジェフェルソン氏の逮捕時にケルモン牧師の姿があり、銃撃に使われた銃器を連警に手渡したりしたことも話題となっている。ジェフェルソン氏に代わって大統領選に出馬し、テレビ討論会での不思議な言動で話題となった同牧師だが、事件の2日前、ボルソナロ大統領がその日が誕生日だった同牧師に、「国で最も愛される聖職者」とのビデオ・メッセージを送っていたことが明らかになっている。ジェフェルソン氏と無関係でいたい大統領だが、難しいか。

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