聖州知事候補タルシジオ、銃撃戦映像の消去を画策=「不都合な事実が映っていたのでは」と物議=知事選にも影響か

タルシジオ氏の選挙陣営(twitter)
タルシジオ氏の選挙陣営(twitter)

 【既報関連】サンパウロ州知事候補のタルシジオ・デ・フレイタス氏(共和者・RP)のキャンペーン・スタッフが17日にサンパウロ市パライゾーポリスで遭遇したファヴェーラでの銃撃戦に関し、その模様を撮影していたテレビ取材班に対し、映像を消去するよう求めていた事実が判明。その理由が問いただされる事態となっている。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
 この件は17日、タルシジオ氏がサンパウロ市西部パライゾーポリスにできた大学施設の落成式を利用してキャンペーンを行おうとしていた時、周辺で武器を所有していた男性と警察による銃撃戦が行われ、容疑者1人が死亡、落成式そのものも中止となったことに関するものだ。
 この銃撃戦が報道された当初は「タルシジオ氏を狙ったものか」との緊迫した懸念も走ったが、警察による捜査の結果、タルシジオ氏を狙ったものではなかったことが判明した。ただ、それにも関わらず、同氏を推薦するボルソナロ氏の陣営が同氏の大統領選でのキャンペーンで、「タルシジオ氏が襲撃された」との虚報を放送。物議を醸していた。
 それから約1週間後の25日、フォーリャ紙サイトが、銃撃発生直後にタルシジオ氏のキャンペーン・スタッフが、この銃撃戦の模様を撮影していたマスコミ関係者を呼んで質問した様子の音声を公開した。
 キャンペーン・スタッフはマスコミに対し「軍警が発砲する様子は撮影したか」と尋ねている。質問されたカメラマンは「いや。軍警が発砲した場面は撮ったが、銃撃戦そのものは撮っていない」と答えた。キャンペーン・スタッフはさらに「イベントに参加する人の姿は撮影したか」と尋ねた後、「それはすべて消去しろ」と迫っている。
 銃撃戦の一部始終を収めた映像はジョーベン・パン局が既に放映しており、それを見た他局も続けて報道していたが、タルシジオ氏のスタッフの要求もあり、ジョーベン・パン局の映像はすぐに取り下げられた。
 この件が明らかになったことで、今回の銃撃戦に関し、「タルシジオ氏にとって不都合な人物の姿が映っていたのか」との疑いが浮上している。フォーリャ紙が取材を行った司法関係者らは、「もう少し状況証拠が欲しいところではあるが」と前置きしながらも、タルシジオ氏のスタッフが行ったことは、証拠隠滅罪など、刑法に反する五つの行為に問われ得るとしている。
 サンパウロ州知事選での対立候補のフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)は同件を知り、「一体、何を隠そうとしているのか」と不思議がり、「典型的なミリシアのやり方だ」と発言。ボルソナロ氏自身がたびたび関係性を揶揄されるミリシアに言及しながら、証拠隠滅疑惑を批判した。
 サンパウロ州知事選の決選投票も大統領選と同じく30日に行われる。調査団体Ipecが25日に行った調査ではタルシジオ氏がハダジ氏を46%対43%でリードしているが、11日は46%対41%だったことを考えると、票差が縮まっている。一次選はタルシジオ氏が42%でハダジ氏が35%だった。また、有権者の21%はまだ票を決めていないとも報じられている。

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