【那覇市発=深沢正雪記者】世界の沖縄県系人が母県との絆を強めるために5年に一度開催しているイベント「第7回世界のウチナーンチュ大会」が31日から11月3日まで沖縄県那覇市を主な舞台として開催される。開催前日の30日午後には、同市繁華街の国際通りで、海外13カ国26都市から参加した約1600人の「世界のウチナーンチュ」と、国内の県人会や県内の関連団体関係者を含めた3270人が前夜祭パレードを元気に繰り広げ、街頭へは歓迎のために市民が押し寄せた。ブラジル勢は沖縄県人会役員を中心に約30人が参加。前夜祭パレードでは、那覇のサンバチーム約50人と共にパレードを盛り上げた。
沖縄へは台風が接近していたが、30日は雨にも降られず、絶好のパレード日和に恵まれた。
前夜祭パレードは、午後3時に開始。ブラジルからは例年、1千人以上が参加するが、今回はコロナ入国規制の厳しさから県人会主催のツアーが組めず、査証が不要な一世と県人会役員ら約30人しか参加できなかった。
サンパウロ市ビラ・カロン区在住の戦後移民、上原智枝子さん(73、那覇市出身)は妹と2人で参加。「コロナ入国規制の緩和をもう1カ月早めてくれていたら、もっとたくさんブラジルから来られたのに」と残念がる。上原さんは1965年に家族とともに15歳でブラジルへ移住した。訪日は4回目で、大会参加は2回目だという。「友達や親戚と会って力をもらい、その分ブラジルに帰って頑張ります」と勢いよく語った。
18年ぶりに故郷に戻った大城栄子さん(72歳、糸満市生まれ)も「沖縄がすごく変わったと感じる。糸満から中部までぎっしり建物が建っている。本土やアメリカの企業やデパートがどんどん進出して、その分、故郷が消えていく感じ」との印象を語った。大城さんは74年にブラジルへ移住。「兄弟や家族に会いに来た。大会参加は第2回以来。一世をはじめ、今回参加したい人が多かったのに、パンデミックのおかげで本当に残念」と振り返る。
ブラジル勢は当日、1時間ほどかけてじっくりとパレードを繰り広げた。翁長みどりさん率いる沖縄サンバBBBが元気な演奏を披露し、人数以上の存在感を示していた。沿道にはぎっしりと市民が詰めかけ、「おかえり~!」との掛け声が乱れ飛び、パレード参加者が市民とタッチをする姿があちこちで見られ、市民からの熱い歓迎の雰囲気に包まれた。
第3回から欠かさず参加しているという元ブラジル日本文化福祉協会会長の呉屋晴美さん(69歳、八重瀬町出身)は「まだパンデミックが残っているのに、こんなに多数の市民が歓迎に街頭を埋め尽くしてくれて本当にうれしかった。皆さんの温かい気持ちが伝わって、涙が出そうです」と興奮冷めやらぬ様子で感想を語った。
沿道で次々にパレード参加者とタッチを繰り返す地元女性の金城さん(匿名希望、76歳)は「パレードは毎回楽しみ。世界のウチナーンチュを間近に見られてとても感動する。私の親戚、同級生にもブラジル移民がいるので、すごく身近に感じているので、歓迎にきました」と語った。