10月30日に行われたブラジル大統領選決選投票では、大接戦の末、ルーラ氏が勝利を収めた。ルーラ氏は同日午後9時20分、サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区のホテル「インテルコンチネンタル・サンパウロ」で当選会見を行った。その後、パウリスタ大通りMASP前で支持者らの前で勝利宣言を行うと知り、歴史的な出来事を自分の目で見なければと、すぐさま同大通りへ駆けつけた。
午後11時20分、パウリスタ大通りは、ルーラ氏支持を示す赤色の服を着た支持者で溢れていた。サンパウロ大学の発表によれば約5万8000人が集まっていたという。対立候補のボルソナロ氏から批判対象とされてきた性的少数者の姿も多い。彼らは差別からの解放と自由を喜ぶ叫び声を盛んに上げていた。
午後11時30分、ルーラ氏が観衆の前に姿を現し、勝利演説を行うと、現場の熱気は最高潮に達し、非常に大きな歓声が上がった。ルーラ氏を見つめる観衆の目には希望そのものが映っているようだった。
勝利演説後、群衆の中で大きなルーラ氏の旗を振っている日系の女性がいた。彼女は「私は日系3世で、ルーツは日本にあるけど、生まれ育ったブラジルこそが私の根源。私はブラジル人であるために戦い続ける」と自身のアイデンティティと今回の選挙についてそう語った。(ア)