来年1月からの次期政権構築に向け、ルーラ氏(労働者党・PT)が7日から本格的に動き始めた。ルーラ氏の動きに合わせ、政権移行作業にリベラル派経済関係者や急進左派の社会主義自由党(PSOL)関係者なども加わり、注目が集まっている。閣僚人事に関してフェルナンド・ハダジ氏が経済相に就任予定との噂も出始めている。6~8日付現地紙、サイトが報じている。
次期政権への引き継ぎは先週来、ジェラルド・アルキミン次期副大統領やPTのグレイシ・ホフマン党首、アロイージオ・メルカダンテ氏らが中心になり進めている。ルーラ氏は6日までバイア州で休暇をとっていたが、今週から本格的に作業に加わった。
7日、ルーラ氏はサンパウロ市で最初の会議を行った。そこでは2023年予算について話し合われた。ルーラ氏は2023年も社会保障給付金「アウシリオ・ブラジル」の支給額を600レアルで維持し、6歳未満の子供がいる家庭に対してはさらに150レアルの支払いを行うことや、最低賃金の実質引き上げを望んでおり、そのための資金確保のための憲法補則案(PEC)策定に努めている。
引き継ぎ作業にはリベラル派の経済関係者と急進左派も加わり、注目が集まった。経済関係者ではアンドレ・ララ・レゼンデ氏、ペルシオ・アリーダ氏といった90年代のレアル・プラン成立に立ち会った経済学者や、元民主社会党(PSDB)のフロリアーノ・ペザーロ氏らが参加。彼らはいずれもアルキミン氏とのつながりの深い人物だ。
ホームレス労働者運動(MTST)のリーダーから2020年のサンパウロ市市長選で次点まで上り詰めたPSOLリーダー格のギリェルメ・ボウロス次期下議やPSOL党首のジュリアーノ・メデイロス氏が「市民・住居」関係の分野での引き継ぎ作業に加わっている。PSOLはホームレスや黒人、LGBTなどの問題に関して最も積極的に活動している政党だ。
次期政権の組閣に関する噂も流れはじめている。一例は2018年にルーラ氏の代理で大統領選に出馬して次点、今回のサンパウロ州知事選でも次点だったフェルナンド・ハダジ氏が経済相に就任予定というものだ。同氏は前ルーラ政権で教育相を務めたことから、今回も教育相就任が有力視されていたが、大統領選3位のシモーネ・テベテ氏が教育相就任を希望。ハダジ氏も経済関係を希望していることから、PTはルーラ氏にハダジ氏の経済相就任を熱望しているという。ただ、ハダジ氏は議会とのつながりが弱く、財界からの支持も薄い。
また、最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事にもルーラ政権入りの噂が流れはじめている。同判事は来年、定年退官予定だが、それを待たずに国防相や外相に就任する可能性が囁かれている。
ルーラ次期大統領は8日夜、ブラジリアに向かい、ローザ・ウェベル最高裁長官やロドリゴ・パシェコ上院議長、アルトゥール・リラ下院議長らと会談を行った後、引き継ぎ作業を継続する。来週はエジプトに向かい、気候変動会議COP27に参加後、ポルトガルにも赴くなど、外交展開も予定している。