ジェラルド・アルキミン次期副大統領は10日、政権移行担当スタッフの新メンバーを発表した。新メンバーにはルーラ、ジウマ政権で財務相を務めたギド・マンテガ氏や、2018年に殺害され、国際的に波紋を広げたリオ市議の故マリエレ・フランコ氏の実妹アニエレ・フランコ氏が指名され、注目を集めている。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
10日に発表されたメンバーは36人で、「通信」「人権」「人種的平等」「企画・予算編成・管理」「商工サービス・零細企業」「女性」の6分野の移行作業に加わる。
通信ではルーラ政権で企画相、ジウマ政権で通信相を務めたパウロ・ベルナルド氏ら4人、人権ではジウマ政権の人権相のマリオ・ド・ロザリオ氏ら7人が選ばれた。
ベルナルド氏はラヴァ・ジャット作戦で、収賄容疑で逮捕されていたが、2018年に最高裁から容疑を解かれた。ロザリオ氏は下議だった2003年、同じく下議だった現在のボルソナロ大統領と口論し、ボルソナロ氏から「レイプの値打ちもない女」との暴言を吐かれたことがある。
人種平等はジウマ政権下で人権・人種平等相を務めたニウマ・リノ・ゴメス氏ら7人、企画・予算編成・管理がマンテガ氏ら4人、商工サービス・零細企業がリオ州議会議長のアンドレ・セシリアーノ氏ら8人、女性がアニエレ氏や、イタイプ水力発電所の元理事でルーラ氏の妻のジャンジャ氏の友人でもあるマリア・エレナ・グアレジ氏らを含む6人となっている。
この中でとりわけ物議を醸したのがマンテガ氏の指名だ。同氏はルーラ政権の2003〜04年に企画相、同じくルーラ政権の2006〜10年、ジウマ政権の2011〜14年に財務相を務めた人物だが、ジウマ政権時にペダラーダ(粉飾会計)を行い、財政悪化を招いたとされ、評価を下げていた。
10日、サンパウロ証券取引所(B3)ではサンパウロ平均株価指数(Ibovespa)が3・7%も暴落し、1ドルが4・08%上がって5・40レアルになるなど、次期ルーラ政権に対する市場からの強い反発が起こった。その理由はルーラ氏がこの日、歳出上限法を無視した発言を、移行作業の現場であるブラジリアのブラジル銀行文化センターで行ったことにあるが、マンテガ氏の指名に市場が反発したことも理由に挙げられている。この件に関して、ルーラ氏は「市場がここまで我々の言動に神経質になるのを見るのははじめてだ」と語っている。
アニエレ氏は、人種と性の平等の闘士として知られ、リオ市のミリシアに殺害されたことで平等を求める社会的弱者の象徴的存在となったマリエレ氏の遺志を引き継ぐ形となった。現在はマリエレ・フランコ財団の会長でマリエレ氏に宛てた手記のベストセラー作家でもあり、「大変な仕事だが、すべての女性のために戦いたい」と抱負を語っている。