岐阜県人の絆 世界へ、未来へ=想い満ちた世界大会が初開催=第1回=10年越しの熱意実り盛大に=発足から1年半、異例の速さで

世界大会の幕開けを告げた郡上踊り

 【岐阜発=小倉祐貴通信員】昨年5月に発足した岐阜県人会インターナショナル(GKI、長屋充良会長)が10月29日から2日間、『第一回岐阜県人世界大会』を開催した。世界17カ国26団体をまとめた連合組織の誕生からおよそ1年半での実現は異例。大会中は岐阜市で記念式典、県ゆかりの出演者による記念公演、パネルディスカッションなどの交流イベントが行われた。

 リモート会議を重ねること、なんと約130回。時には早朝、またある時には深夜。世界に散る県人との会合は時間帯を選べない。世界大会構想の発端は10年以上前にさかのぼる。当時、ブラジル岐阜県人会の活動に携わるようになった長屋会長が、世界各国へメールを送った。「みんなで集まって岐阜県人会の世界サミットを開こめえ――」。が反応は淡白だった。
 「時期尚早だ」「顔を合わせずどう準備する?」。開催に疑問を抱く声が届く。もちろん返事のない県人会が大多数だった。熱意もむなしく儚い夢に。この片思いに転機が生まれたのは、世界中をパンデミックに陥れた2020年の新型コロナ。リモートワークに対する抵抗が薄れ、どこにいながらでも仕事に取り組める社会環境となった。
 「時期尚早」から「今ならできるかも」。再度打診するとそんな反応に変わった。日本時間2021年5月23日、設立総会でついに第一歩を踏み出す。現在は、アジアを始め南北アメリカなど世界17カ国26団体が加盟。豪州などGKIを機に、新たに県人会として誕生した国まである。
 規模や活動は会それぞれだ。南米のような移民とその子弟で構成される県人会以外に、現地在住者や駐在員が中心の親睦団体のような性格を持つもの、会員数20人以下から100人以上の大所帯まで。南加県人会(米国)のように創立100年を越える老舗もある。

拍手を送る約600人の観衆

 世界大会に向け、母県側では県庁国際交流課と県内に拠点を置く「ふるさと岐阜県人会」が奔走。記念式典の大まかな枠組みが見えてきたのは今年3月になってからで、「郡上踊り」「音楽」などのキーワードを挙げながら、式典に花を添える出演者を探した。
 こうして実現した記念式典は29日午後、岐阜市サラマンカホールで開催。同ホールはオーケストラなどのコンサートで利用される場所で、サンパウロ市でいうとサーラ・サンパウロのような施設だ。西洋的内観とは裏腹に、普段はその場所で聴くことはないお囃子が鳴り響く。浴衣に身を包んだ女性たちによる郡上踊りが、世界大会の幕開けを告げた。国内外にいる岐阜県人の想い、熱意が結実した瞬間だ。(つづく)

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