今連載のテーマは「私たち世代が今後の社会で活躍していくためには何が必要なのか」。取材を通じてわかったことは、自分の活躍できる場所を見つけることの重要性だ。
上田ミレーニさんは、ブラジルで自身を評価してくれる環境に出会い、自身のアイデンティティーを確立した。岩本マサヒロさんは、二言語話者としての資質と英語の能力の高さを活かして外語大進学という進路を見つけた。坂本アガタさんは「早く自分も人生の一歩を踏み出したい」と活躍できる場所へ行くことを目指している。
今連載では日本育ち日系人への期待と現実にも追った。日本育ちの日系人へかけられる期待には、二言語話者としての能力に負う部分がある。
私の地元、長野県飯田市には日系ブラジル人が少なく、私は日本語での生活に適応するため、自ずと日本語を習得した。しかし、日常の中で友達と比べて自身の語彙力が不足していると感じた時や、日本語の基礎知識不足で授業の内容についていくのに苦労した時は辛く、日本にいた時、常に心の片隅で劣等感を感じていた。今連載取材対象者も皆、それぞれの生活の中で苦労しながら日本語を習得していた。
しかし、日系ブラジル人が多く住む地域の日系ブラジル人子弟らはポルトガル語で生活ができるため、日本語を未習得の者も多いと聞く。次回連載ではそうした彼らの声も届けられたらと思う。
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ブラジル在住の日本育ち日系ブラジル人が集まる会がある。発起人は本紙記者の仲村渠アンドレさん(サンパウロ市在住、24歳、3世)だ。会では共通の経験を持つ者同士で忌憚なく意見を交わし、対面とオンラインで交流会を行っている。
今連載を読んだ日本育ち日系ブラジル人の読者から相談事の連絡が届いた。同会では、そうした相談にも対応しているので、希望者は仲村渠さん(ワッツアップ55・11・99874・7024またはインスタandre.nakandakari)まで連絡を。(終わり、松永エリケ記者)