ルーラ次期大統領(労働者党・PT)は16日、エジプトでの国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に参加。ルーラ氏はそこで、2025年はブラジルでCOPを開催したいとの意向を表明した。一方で、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕された人物が所有する小型ジェット機でCOP27へ向かったため、国内では物議を醸している。16日付伯字サイトなどが報じている。
ルーラ氏は14日、サンパウロ州から支援企業が所有する小型ジェット機でエジプトに向かった。帯同メンバーは、ジャンジャ夫人、セルソ・アモリン氏、フェルナンド・ハダジ氏といったPT政権の主要スタッフ、次期政権で入閣が確実視されているシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)だ。
また、ルーラ政権の環境相で環境問題の国際的大家のマリーナ・シウヴァ氏らは、会議がはじまった時からエジプト入りし、積極的に活動を展開していた。
ルーラ氏は15日にエジプトに到着すると早速、米国のジョン・ケリー国務長官や中国の解振華気候問題担当特使らと会談を行った。会談でルーラ氏は、ケリー国務長官に対し、「バイデン大統領にパリ協定を順守するブラジルが戻ってきたと伝えてほしい」と語った。ケリー長官は「信頼している」と述べたとBBCブラジルの取材陣に語っている。
ルーラ氏はエジプトに発つ前から少なくとも10件の会談を求められていた。その中には、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏やエジプトのシーシー大統領などが含まれている。
ルーラ氏がこのような待遇を受ける背景には、ボルソナロ大統領がパリ協定を無視して法定アマゾンの開発を擁護した経緯がある。ボルソナロ大統領は、森林伐採や森林火災急増を批判されても、「他国にアマゾンの干渉をさせない」などと語り、その姿勢を変えようとしなかったため、国際的な反発を買っていた。
ルーラ氏は16日のCOP27の席においても、「ブラジルが世界に戻ってきた」と語り、法定アマゾンを中心に求められている森林伐採やCO2排出量などの課題に関し、「役割を果たすことを保証する」と約束。さらに、2025年に開催されるCOP30はブラジルで開催したいとの意向も表明した。ボルソナロ大統領が環境問題で招いた国際的なイメージダウンの回復につとめようとしている様子がうかがえた。
ルーラ氏は18日までエジプトに滞在。その後にポルトガルを訪れ、アントニオ・コスタ首相らと会談し、19日に帰国予定だ。
一方で、ルーラ氏が今回のエジプト訪問で使用した企業所有の小型ジェット機が物議を醸している。同機はクアリコープ社のもの。同社の元社長ジョゼ・セリピエリ氏は2020年にラヴァ・ジャット作戦で逮捕され、報奨付証言に応じた人物だからだ。
このため、ジョアキン・レイテ環境相がルーラ氏を批判。ウビラタン・サンデルソン下議(PL)は連邦検察庁に捜査を要請した。UOL辛口コラムニストのジョジアス・デ・ソウザ氏は「信じられない間違い犯した。過去から何も学んでいない」と述べるなど波紋が広がっている。
ジェラルド・アルキミン次期副大統領は「COPに参加する法定アマゾンの州知事たちも搭乗しており、ルーラ氏は相乗りさせてもらっただけ」と釈明している。