連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第76話

    第二回目の訪日

 さて、一九八六年には六年ぶりに第二回目の訪日を実現させた。これは天理教教祖様没後一〇〇年祭の団体帰参便に参加しての訪日であった。それに母ぬいも八十三才で大分弱って来たから、その親孝行の旅でもあった。第一回の訪日は四十八日間の旅であったが、今回は二ヶ月間の長い間ブラジルの家と仕事を留守にしたのであった。

    大アマゾン・北伯・コチア青年銀婚記念旅行

 一九八六年六月三十日~七月六日 (北伯旅行)
 二ヶ月間の長い訪日を終えて帰伯し、やっと元の生活のリズムに戻った頃、コチア青年銀婚組の北伯旅行に誘われた。
 私達は結婚二十七年目、銀婚日を三年近く過ぎていたけれど、コチア青年の平均は今であろう。
 十五組のカップルが一週間でベレン、サンタレン、マナウスと旅して、楽しい思い出をつくった。
 ブラジルの代名詞であるアマゾンを着伯三十一年目にして初めて旅した。ベレンはマンゴの街路樹で有名。魚市、果物市、何十種類もの果物のアイスクリーム、特にアサイやクプアスーが有名である。水族館でピラルクーも見た。三㍍余の大魚である。
 ベレンには知人が二人住んでいた。一人は日本料理店(銀座)で働く私達の同船者、長崎出身の大木君である。もう一人はサンロッケ市カングエーラ在住の井上さんの次女のきみ子さんが、このベレンで理容サロンを開けて大繁盛である。
 ベレンから西へ八〇〇㌔アマゾン河とタパジョス河の合流点の南岸にサンタレンの町がある。タパジョス河はマット・グロッソ州の州都、クイアバーの少し北を源流にした水の澄んだ大河で、サンタレンの合流点でもタパジョスの出口はキラキラと澄んできれいだ。私達はそこで水泳を楽しんだ。
 マナウスはアマゾン州の州都で貿易自由港で多くの外国企業がここに生産拠点を持っている。日本の大手家電企業もほとんどここに進出して、ブラジル国内および南米全域へ販売している。
 昔はゴム景気に湧き、この密林の森の真只中にオペラ劇場まで造り上げた時代もあった。
 この様な市内の名所の観光を行い、次の日はインディオの住む密林を歩き、ソリモンエス川とリオ・ネグロ川の合流点で魚釣りを体験し、大きなエイを釣り上げて、ホテルで料理して皆で食べた。

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