10月30日の大統領選落選以来、ボルソナロ大統領が一斉の公務から身を引き、アミルトン・モウロン副大統領が公務を代行する状態が続いている。その大統領の近況をモウロン副大統領が語っている。16、17日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領は1日に大統領官邸で落選後初の公式声明を行った以外、公務らしい公務を行わず、自身の支持者に対しても、幹線道路封鎖などの他者の権利を侵害する抗議行動をやめるように促しただけで、人前にも出てこない生活を続けている。
大統領が連邦政府の拠点であるプラナウト宮に姿を現したのも、大統領選の翌日にパウロ・ゲデス経済相ら数人の大臣と会合を行った時と、3日にジェラルド・アルキミン次期副大統領とシロ・ノゲイラ官房長官らが政権引き継ぎの会議を行っていた時に突如現れた時の2回のみだ。
12日には、今週からインドネシアのバリで行なわれているG20への不参加も発表された。この会議にはモウロン副大統領も参加しておらず、結果、カルロス・フランサ外相が責任者として参加する、異例の事態となった。今年の同会議ではボルソナロ氏と、ウクライナ危機の渦中にあるロシアのプーチン大統領のみが欠席となっている。
16日もアルゼンチンのダニエル・スキオリ大使をはじめ、デンマークやフィンランドの大使らと会談を行う予定となっていたが、これらもすべて、モウロン副大統領によって代行されている。
この日、沈黙を続ける大統領の近況に関してモウロン副大統領が語った。同副大統領によると、ボルソナロ氏が沈黙を守っている理由として、「足にできた傷」をあげている。それは「エリシペラ」と呼ばれる皮膚の炎症を招く感染症によるもので、感染そのものに関しては、大統領選の終了直後から一部で報じられていた。
モウロン氏は「だからズボンが履けないんだ。まさか短パンを履いて公務をするわけにはいかないだろ」と、その状況を語った。
副大統領は取材陣に対して、ボルソナロ氏落選に関する自身の見解も話している。モウロン氏はその最大の要因として、「コロナ対策」をあげ、「我々、連邦政府としては対策の用意は出来ていた。ところが大統領がそれに一人反対し、ワクチンに関して悪く言い始めた。本来なら難なく勝てた選挙だったのだが、あれで多くの国民に嫌われてしまった」と語った。
モウロン氏はボルソナロ氏の今後に関し、「国をまとめる能力はある。2026年にはより強くなって戻ってくるはずだ」と語っている。
モウロン氏は来年1月1日に行われるルーラ氏の大統領就任式でたすきを渡す役と予想されていたが、その噂を「私は大統領でないのでそれはできない」と否定した。
ボルソナロ氏自身はまだ落選を認める発言を行っておらず、ルーラ氏の就任式にも欠席することが予想されているため、たすきを渡す役が不在のままとなっている。