最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は17日、大統領選挙後に起きたボルソナロ大統領支持者たちによる幹線道路封鎖や軍関連施設前でのデモなどの抗議行動に対し、資金などを提供した個人や企業(法人)計43口分の銀行口座の凍結を命じた。また、これまでの調査から、デモを支援した政治家や公務員などの名前もリストアップされている。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
10月30日の大統領選の決選投票直後、ボルソナロ大統領支持派のトラック運転手たちが幹線道路を塞ぐ抗議行動を起こした。抗議行動は選挙の無効化や軍事介入などを求める反民主主義的なデモに発展。先週末にはニューヨークで、抗議者たちが同地を訪れた最高裁判事に対して威嚇行為を行った。祝日だった2日と15日には全国の軍関連施設前で軍事介入を求めるデモなどが繰り返された。
長期化するデモの背景に資金提供を行っている大統領派の企業、個人の存在が囁かれていた。モラエス判事は17日、中央銀行に対し、個人10人、企業33の計43口の口座の凍結を命じた。これまで捜査は秘密裏に行われていたが今回、人物や企業の具体名が明かされた。
モラエス判事は、道路封鎖の解除にあたった連邦道路警察や各州検察局などからの情報を得て、デモ参加者に対して資金などを提供していた人物や企業を特定し、今回の措置をとった。
同判事は既に、連邦警察に対し、これらの個人や企業に対してより詳細な捜査や事情聴取を行うように命じている。
また、警察組織や検察局などが行った調査では、今回のデモを支援した政治家などの名前も具体的に明らかになっている。
リオ・グランデ・ド・スウ州では、同州最多得票で下議に当選したルシアノ・ズッコ氏(共和者・RP)がデモを先導していた事実が市警の調べで判明している。同氏は選挙期間中、常にボルソナロ大統領、同州知事候補だったオニキス・ロレンゾーニ氏、同州上議に当選したアミルトン・モウロン副大統領に帯同していた。
さらに進歩党(PP)から同州の州議選に出馬して落選した警察官のマリアナ・レスカーノ氏やパトリシオ・ジャルジン・アントゥネス氏などの名前も扇動者として挙げられている。
ゴイアス州では農業界の大物企業家ヴィットーリオ・セザール・プリオリ氏が、道路封鎖行為に直接に参加したことが同州裁判所の調べでわかり、証拠となる動画もあがっている。同氏は自身の企業従業員を封鎖に強制参加させることを裁判所から禁じられている。
サンタカタリーナ州では少なくとも12人の企業家が、デモに資金提供を行ったことが確認されている。その中には運輸業界の大物のエミリオ・ダルソキオ・ネット氏が含まれている。同州は道路封鎖数が最も多く、最後まで抵抗を続けた上、ネオナチ団体8人が逮捕された州でもある。
また、パラナ州ではデモを組織した人物が43人、ペルナンブッコ州では13人がリストアップされている。アクレー州、セアラー州、南マット・グロッソ州などでも同様の報告が行われている。