国立会計検査院(TCU)のアウグスト・ナルデス判事が、連絡アプリ「ワッツアップ」で農業関係の友人グループに「軍事介入が近いうちに起きる」と解釈できる発言を行っていたことが判明し、物議を醸している。同判事はジウマ大統領の罷免される原因となった粉飾会計問題の報告官として知られている。20、21日付現地紙、サイトが報じている。
ナルデス氏の発言は既に多くのメディアで公開され、問題となっている。ナルデス氏は8分余りの音声メッセージの中で「かなり強い社会的な抗議運動が起こっており、どんなに遅くとも2週間以内には結果が予測できない(収拾のつかない)事態が起こるだろう」と語っている。
ナルデス氏はまた、「まだ君たちには大きな声では言えないが」と前置きした後、「既にたくさんの情報を得ている。私はすべてのリーダーたちと知り合いだから、農業関係者に伝えたい」「既に今週、ボルソナロ大統領のスタッフたちと長い話をした」と語り、大統領関係者が、大統領選の結果を不服とし、軍事介入なども含んだ反乱を企んでいるかのような発言を行った。
ナルデス氏は大統領の近況についても話しており、「皮膚の感染症で体調は良くない。だが、間もなく回復して、これから起ころうとしていることに対処する準備を整えるだろう」と語っている。
このグループは、ナルデス氏が「今は我々保守派の時代だ。変化は止めなければならない」と語っていたように、保守派グループのものだ。同氏は過去の自分のことについても言及している。
同氏は軍政末期に社会の変化に反対するためのグループを作り、ガイゼル、フィゲイレード両大統領と話したものの、「彼らには残念ながら、市場価値を擁護するための議会制導入へのヴィジョンがなかった。だが、今はボルソナロ氏がいる」と語った。また、「90年代のカルドーゾ政権では農業部門で大規模な抗議運動を行い、脅威を与えた」とし、「トラック部門だけでなく、農業生産者ももっと抗議運動に参加する必要がある」などとも語っている。
ナルデス氏は軍政政党の国家革新同盟(ARENA)出身で、現在の進歩党(PP)の前身にあたる政党から南大河州州議(1987〜94年)、連邦下議(1995〜2005年)となっていた。
2005年のルーラ第一期政権の時代にときのセヴェリーノ・カヴァルカンチ下院議長(PP)の強い推薦を受け、判事選出選挙で勝利。ルーラ氏の指名を受け、TCU判事となっていた。
TCU判事としては2015年に、ジウマ大統領(当時)が公銀から多額の借り入れを行い、粉飾会計(ペダラーダ・フィスカル)を行ったとする嫌疑で報告官を務め、ジウマ氏を有罪を導いた。ジウマ氏はこの翌年、粉飾会計を繰り返したとして大統領を罷免されている。
ナルデス判事の発言は連邦議会で問題となり、パウロ・テイシェイラ下議(労働者党・PT)やランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)らが議会での証言を求めている。