ボルソナロ大統領の所属する自由党(PL)は22日、選挙高裁に対し、大統領選で使用された票集計機に不審な機種があり、同機種で集計した票の無効化を要請。無効化が認められた場合、大統領選の勝者はボルソナロ氏だと訴えた。同裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス長官は、「一次投票での問題点も含めた証拠」を24時間以内に提出することを求めた。PLの訴えには矛盾点などもあることから、受け入れの可能性は低いとみられている。22、23日付現地紙、サイトが報じている。
PLが22日に送った文書によると、今回の大統領選で使った電子投票機のうち、信用できるのはUE2020という型のみで、UE2009、UE2010、UE2011、UE2013、UE2015は信用できないという。それは、これらの機械には番号が割り振られていなかったためだという。
PLは、今回選挙で使用した電子投票機の59%を占める約27万9千機分の投票無効化を訴えた。その場合、有効とされた投票機の票を集計すると、ボルソナロ氏が2618万9721票、ルーラ氏が2511万1550票、得票率にして51・05%対48・95%でボルソナロ氏が勝利すると主張した。
PLがこの異議申し立てを行うことは先週末、ヴァルデマール・コスタ党首が宣言していたことで予想されていた。その宣言の動画の中でヴァルデマール氏は「以前は投票システムを疑ったことはなかったが、民主主義のためだ」と主張した。同氏に対するボルソナロ氏自身やその支持者からの圧力が強かったと見られている。
モラエス選挙高裁長官はこれに対し、「今回の大統領選では決選投票も一次投票も同じ機械を使っている。一次投票での不正疑惑の分も合わせた証拠を24時間以内のうちに提出する」ことをPL側に求めた。
一次投票では知事選や上議選、下議選、州議選の集計も行っており、それらの無効までを短時間で証明するのはかなり困難な要求である上、下議で最多の99人を当選させたPL自身にも影響を与えかねないものであることから、かなり厳しい要求が行われたととらえられている。
この件に関しては、モラエス長官の要求以外にも、PLの訴えの矛盾の指摘が行われている。サイト「ポデール360」は19日の時点で、「たとえ投票機に番号が割り振られていなくても、投票後に機械毎に印刷される投票内容の報告書(BU)で識別可能なので問題はない」との専門家の見解を紹介。22日付のエスタード紙やフォーリャ紙サイト、グローボ局などの放送局も同様の見解を示している。
また、最高裁、ブラジル弁護士会、連邦会計検査院、国防省も、「不正は見つからなかった」と発表しており、今回の異議申し立てで結果を覆らせるのは困難との声がある。
多くの政治評論家は、今回のPLの訴えは「ルーラ氏の大統領正式就任までの抗議運動を盛り上げることを目的としているのではないか」と指摘している。すでにネット上では、PLの訴えに反論を行うメディアに対する大統領支持派の攻撃が見られている。