サッカーW杯の日本対ドイツ戦観戦会が23日午前10時から、サンパウロ市のブラジル日報協会会議室で行われた。会場には日伯両国旗が掲げられ、当地在住日本人や日本ファンなど約30人が集まって日本語、ポ語で応援。勝利が決まったときにはハグで喜びあった。
試合前、色鮮やかな紅白幕が張られた会場のテレビ前には日本代表のユニフォームを来た老若男女が試合開始を待ちわびていた。サンパウロ人文科学研究所の細川多美子さんらは「勝負に勝つ」との縁起を込めた「トンカツ」や焼きそばなどの日本食、アルコール類などを差し入れた。
日本在住で夫がドイツ人のサカグチ奈々さん(2世)は、「夫は今日本でドイツを応援していますが、私は日本を応援します。日本には頑張ってほしいです」と小さなドイツ国旗を付けた日本代表ユニフォームを着て、日本代表に熱心にエールを贈った。
観戦会取材のため、テレビ局SBT撮影班も駆け付けた。
試合開始7分、前田選手がゴールを決め、先制したと思われたがオフサイド。その後、前半32分ドイツがペナルティーキックで先制。会場からは大きなため息が聞こえ、重い雰囲気のまま前半が終わった。
ハーフタイムには、その暗さを吹き飛ばすように若手民謡グループ「民」が「ソーラン節」「花笠音頭」などを元気いっぱいに演奏し、会場に集まった人は手拍子を打って盛り上がった。
津田優さん(26)は世界旅行の途中、ブラジルを訪れ、日本戦観戦会があると偶然知り、会場に駆け付けた。「ドイツめちゃくちゃ強いですね。でも、まだ終わってません。しぶとく応援します」と語った。
後半が開始され、ドイツの猛攻撃が始まったが、キーパーの権田選手が好セーブを見せ、しのぎ耐えた。後半27分、堂安選手が相手ゴールキーパーの弾いたボールを押し込み同点。会場は一気に盛り上がり、「マイズ・ウン(もう1点)」や「ニホン、ニホン」のコールを繰り返した。
後半45分、浅野選手が追加点を決めて逆転すると会場の興奮は最高潮に達し、文協の建物中に響くような大歓声が上がった。知らない人同士でもハイタッチやハグで喜びを分かち合った。そのまま2―1で逃げ切り、日本は強敵ドイツに歴史的勝利を収めた。
日本に30年住み、ラモス瑠偉の従兄弟、日本で活躍した元プロサッカー選手であり、東京ガス・フットボールクラブ(現在の東京FCクラブ)でサッカーを教えた経験を持つカルロス・ニコックラさんは、「言葉にできない喜びだ。日本の勝利は自分にとって、大きな意味がある。次も勝って、決勝トーナメントに進出してほしい」と日本の勝利に涙を見せた。
日本代表の第2、3戦の観戦会も、文協6階ブラジル日報協会会議室で開催される。第2戦(対コスタリカ)は27日(日)午前7時、第3戦(対スペイン)は12月1日(木)午後4時から。参加申し込みは当協会(電話11・3164・0474)、またはフォーム(https://forms.gle/PYUCp2kYtRURStRV8)から。
□サビアの独り言□
日本対ドイツの試合の後、ブラジルのメディアは次々に日本代表に関する記事を出した。「サッカーW杯に逆転ゼブラ(予想外の大健闘)、ネットにドイツを嘲笑するミーム画像多数」「日本に敗北して強いプレッシャーとドイツ監督」「勝利の陰で、日本のキーパーは4回も立て続けに奇跡的防御」「国際メディアはドイツ敗北を『崩壊が始まった』『アホ役を演じ始めた』と報道」「なぜ日本人はW杯でスタジアムのゴミを拾うのか?」などだ。2大会前にブラジルを7対1で破って屈辱を与えた相手だけに、日本が勝ったことは大きな喜びをブラジル民に与えたようだ。