「最後の押しが足りなかった」――サッカーW杯の日本対クロアチア戦観戦会が5日正午、サンパウロ市のブラジル日報協会会議室で行われた。会場には当地在住日本人や日本ファンの日系人、ブラジル人ら約50人が集い、日本語とポルトガル語で日本代表を応援。試合は接戦の末、PK戦で日本が敗れ、会場からは残念がる声があがった。
バンデイランテスTV局も取材に来るなど、ブラジル社会からの注目が集まる中、紅白幕が張られた会場のテレビ前には、日本代表のユニフォームを来た老若男女が集った。この試合に勝てば、9日にはブラジル戦となるだけに、期待感は否が応にも高まっていた。
試合前、観戦にきた安里リカルド次嗣明さん(28歳、3世)は、「前半からプレッシャーをかけ、ビビりすぎず、相手のふいを突いていけば勝てるチャンスはある」と日本代表への期待を語った。
試合が開始されるとすぐに日本にゴールチャンスが。得点には繋がらなかったものの、その後も攻勢を続け、前半43分には、前田選手が先制ゴールを決めた。観戦会場では、参加者らが歓声を上げて立ち上がり、ハグやハイタッチで大いに盛り上がった。
後半開始早々の9分、クロアチアのペリシッチ選手がヘディングシュートでゴールを決め、同点に。会場からは大きなため息が漏れた。日本の勝利を望む「もう一点」コールが響く中、試合は終了し、延長戦に突入。一進一退の展開が続き、引き分けのままPK戦に入った。
観戦会場では皆が手を合わせ、祈りながら見守った。クロアチアのゴールキーパーが立て続けに3度、日本のゴールを見事にも阻み、日本初のベスト8進出の夢は儚く散ってしまった。
試合後、観戦会に参加した日本のプロフットサルプレイヤーの中井健介さん(33歳)は「日本がボールを持つ時間が長く、パスが回っていた。自信を持ったプレーが見られ、世界との差が縮まっているのが感じられた」と日本代表の戦いぶりを称賛した。
日本の勝利を期待していた学生の大野優真さん(22歳、兵庫県出身)は「スペインとドイツよりも、良い戦いぶりで見ていて楽しめた。日本の得点機会が多かったが、最後の押しが足りなかった」と残念そうに語った。