ウーバー車内に携帯電話を置き忘れるアクシデントが起きた。対応に困り、滞在中に友人となった、たこ焼き職人の堀江ゆうすけさんをリベルダーデまで訪ね、道端で善後策を相談した。被害届を出すために、まずは警察に電話しようとなった時、後ろから「ポルトガル語で説明できるの?」と声を掛けられた。
「振り向いたらブラジル人が立っていて驚きました」
声の主は、津軽三味線奏者のマテウス・ビテンクウ・オリベイラさん(25歳・非日系)。日本語が堪能で、日系団体イベントでの三味線演奏でお馴染みの人物だ。
マテウスさんと2人に面識はなかった。マテウスさんは偶然その場を通りかかり、聞こえてきた2人の不安げな会話の様子を心配して、声を掛けたという。マテウスさんはその場で警察に電話をかけて事情を説明し、被害届を出すために警察署までついてきてくれた。
角野さんは親身になって助けてくれたお返しにと、マテウスさんに感謝の念を込めた手作りカレーを振舞った。
すると、ウーバーの運転手から置き忘れた携帯電話を返しにきてくれるとの連絡が。携帯紛失アクシデントを通じて「ブラジルは優しくて懐深い人が本当に多いですね」との感慨を深くした。
ブラジル人の人柄については、趣味のスケートボードをするために訪れたスケボー広場で知り合った若者たちとの交流でも感じるところがあった。
「言葉は通じないけど、とても気さくに『Legal!(いいね)』と声をかけてくれるんですよね。連絡先も交換して、すぐにスケボー友達が2人できました。繋がりもどんどん広がるし、そのスピード感はとても良いと思います」
ブラジルへの悪印象について聞くと、「悪い印象は特にないけれど、不思議に思ったのは、食べ物は安くて美味しいし、求めればとことん安くもできるのに、生活用品や洋服などは急に値段が高くなるんですよね。平均給与に比べて、洋服やスニーカー、スマートフォンなどは高いのでびっくりしました。ナイキのスニーカーなんかアメリカの2倍ですから…。買える人と買えない人がくっきり分かれて貧富の差が激しい印象を受けました」と語った。(続く、淀貴彦記者)