ボルソナロ大統領は5日、軍のイベントに参加した際、急に涙を流し始めて参加者を驚かせた。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領はこの日、ミシェレ夫人と共にブラジリアの海軍クラブの年末恒例のイベントに参加した。式典には陸海空の3軍司令官やパウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相などが参加した。
大統領が泣き始めたのは、昇進を決めた将校たちを讃えるスピーチが行われている時だ。この突然の出来事に周囲は驚いたが、涙の理由は謎のままだった。
大統領選落選後に大統領が軍のイベントに参加するのは4度目だが、今回も含め、いずれの席上でも大統領選には触れていない。また、式典後には軍関係者との食事会があったが、そこでも特別なことは起きていない。
ボルソナロ氏は10月30日の大統領選決選投票で落選が決まって以来、5週間以上、沈黙を続けている。その間、熱心な同氏支持者らは幹線道路の封鎖や軍施設前での軍事介入を求める抗議運動を活発化させたが、大統領はネット上などでもこれを煽るような発言を行っていない。
大統領が沈黙している理由の一つには皮膚の感染症であるエリシペラ(丹毒)罹患が挙げられている。脚の傷は生々しく、ズボンの着用が困難とされ、約3週間は公務にさえ顔を出していなかった。
だが、複数の側近はボルソナロ氏の落選後の精神的な落ち込みの大きさも指摘しており、複数の医学の専門家が「うつ病の兆候がある」と指摘する報道も行われている。
ボルソナロ氏は先月下旬、所属の自由党(PL)のヴァルデマール・コスタ党首に投票機の不信を理由に6割ほどの票の無効化を主張させており、その結果、同党には巨額の罰金が科された。ボルソナロ氏はルーラ氏当選を明確な形では認めていないが、特段の抗議も行っていない。
なお、軍関係者の中からは、ボルソナロ氏の涙は、同氏が完全に孤立し、軍の内部にはクーデターへの賛同者が少ないことに気づいたからとの声も出ていると報じられている。