国際協力機構(JICA)は11月15日、民間企業関係者に向けた中南米地域新興ビジネス動向オンラインセミナーとJICA協力事業についてのオンライン意見交換会を行った。
セミナーでは、江口雅之JICAブラジル事務所長が、ブラジルのデジタル農業について、坪井創メキシコ事務所長が同国のスタートアップ企業の現状について語った。
江口所長は、はじめにブラジル民の生活における各種デジタル技術の高い利用状況を紹介。デジタル技術分野へ投資を行った場合、成果を得られる見込みは十分にあるが、「数学力や読解力の低さ、英語理解者の少なさ、識字率の低さなど解決すべき根本的な問題も多々ある」と語った。
続けて、今後懸念される世界的な食糧不足を回避するためには、農業分野へのデジタル技術の適用が求められるとし、「ブラジルの農家と先端技術を持つ日本企業が協力すれば、大きな発展が見込める。デジタル技術普及率が高くない中小農家へアプローチすることが必要だ」と語った。
坪井所長は、メキシコの新興企業の現状として、同国発祥のユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える設立10年以内の未上場企業)が10社あること、中部ハリスコ州は「メキシコのシリコンバレー」と呼ばれ、情報技術分野企業の成長勢いが増していること、工業系大学が情報技術分野人材育成プログラムを実施していることなどを紹介。「メキシコは解決すべき社会課題の多い国だが、スタートアップの盛り上がりは今後も続いていくだろう」と語った。