白血病余命三カ月から奇跡の回復=武田ベンジャミンさん=波乱万丈闘病生活17年記

真剣な眼差しで自身の経験を語るベンジャミンさん

 武田ベンジャミンさん(ゴイアス州カウダス・ノーバス出身、52歳)は、デカセギ先の静岡県で、31歳の時に白血病を患い、余命三カ月の宣告を受けた。闘病生活中、苦境に追い討ちをかけるようにして妻の浮気が発覚し、離婚。残された息子2人のため、病身を押して1日12時間工場で働く過酷な生活を送った。強烈な副作用を伴う放射線治療を行い、一時は生死の淵をさまよったが、息子からの髄液移植が功を奏し、白血病は寛解。17年間に及ぶ波乱万丈な闘病生活を乗り越えた。17日、編集部を訪れたベンジャミンさんに話を聞いた。

 ベンジャミンさんは1990年、20歳でデカセギとして静岡県御殿場市へ渡った。工場で働く中、2001年31歳で髄液性白血病が見つかった。「当時は治療法が確立されておらず、病気の進行を遅らせることしかできなかった」という。
 医師からは「あと三カ月の命だ。万が一治っても後遺症が残り、普通の生活は送れない」と宣告された。ベンジャミンさんは「先生、あなたはあなたが出来る仕事を全うしてください。私は神を信じて、人生を全うします」と返答したという。
 病状について知った当時の妻はベンジャミンさんとの生活に見切りをつけ、浮気した。ベンジャミンさんは「ものすごく怒りを感じたし、辛かった」と語る。2人の間には2人の息子がおり「息子たちの存在が自分を支えてくれた」という。職場の上司には、病気であるということだけを伝え、毎日12時間働き続けた。
 2017年4月、ついに入院して化学療法と放射線治療を受けた。医者からは「これほど強い化学療法と放射線療法を行うのは初めてだ」と言われた。治療による副作用は強烈で、1カ月間毎日嘔吐と下痢をくり返した。
 一時は生死の淵をさまよい、彼岸の世界を垣間見た。「あちらの世界では、みんな真っ白な一戸建ての家に住んでいた。落ち着ける雰囲気で、気分はとても安らいだ。自分が死ぬ日も教えられた」と話す。
 今際の際からの生還を果たすと、不思議なことに容態は良くなった。息子からの髄液移植手術も成功し、17年間に及ぶ波乱万丈な闘病生活を乗り越えた。
 白血病寛解から5年が経った。ベンジャミンさんはブラジルで今尚苦しみの中にある人に自身の体験を伝え、手助けするため帰伯したという。ベンジャミンさんは「悩みのある人は相談してほしい」と語った。同氏連絡先は電話64・98445・4920/メールBtakedarei@gmail.comだ。

最新記事