11月27日に行われたブラジル長崎県人会(森繁親会長)の敬老会には、孫夫妻に付き添われて出席した岩永恵美子さん(88)の姿があった。孫の光石勝(みついし・まさる)アイルトンさん(32、3世)は、2009年に開催されたサンパウロ州柔道選手権大会で優勝した経験を持つ。今回、夫妻で初めての長崎県人会行事への参加となった。
3歳の頃から柔道を始めたという光石さんは、サンパウロ市ミリン地区やサンパウロ州バストスなどで柔道の稽古を積み、バストスではブラジル代表選手も育て上げた馬欠場卯一郎(うまかけば・ういちろう)氏の指導を受けた経験もあったという。
その後、光石さんは汎アメリカン大会の試合にも出るなど実力を付け、2009年にはサンパウロ州柔道選手権大会に73kg級で出場することに。しかし、大会当日は敬愛していた祖父・岩永昭三さん(恵美子さんの夫)の葬儀と重なったことから、一時は出場辞退も考えた。そうした時、恵美子さんら家族から「柔道の試合に出た方が(昭三さんも)喜ぶ」と諭され、大会では見事優勝を果たした。
サンパウロ市の体育大学を卒業後、海外に行きたいとの思いが強くなり、日本語を勉強して2016年から神奈川県横浜市の企業で働いた。その間、19年には横浜市鶴見区で毎年開催されている「沖縄角力(すもう)」大会にも出場し、ブラジル国籍者として初めて準優勝となった。
今年7月、夫人とともに6年ぶりにブラジルに戻ったという光石さんは、「しばらくはブラジルに滞在します」と話し、初めて参加した敬老会行事を祖母の恵美子さんらとともに楽しんでいた。