ボルソナロ派が首都で暴動=車両焼き討ちや連警侵入図る=ルーラ認証の晩、仲間逮捕で

12日の暴動の様子(Twitter)
12日の暴動の様子(Twitter)

 12日夜、ブラジリアでボルソナロ大統領派のグループが連邦警察の建物への侵入を試み、車の焼き討ちを行うなどの暴動を起こした。暴動の原因は大統領派先住民リーダーがルーラ次期大統領を襲撃しようとした容疑で選挙高裁長官のアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事の命令で逮捕されたことがきっかけだった。13日付現地紙が報じている。
 大統領派のグループは、ブラジリア市内でバス5台、乗用車3台を焼き討ちにした。その内、バス4台と乗用車1台は全焼した。また、同グループと抗争状態に陥った軍警が使用した催涙ガス弾の煙を吸い込んだ67歳の男性が、病院で手当てを受けている。
 同グループはその前に市内アーザ・ノルテにある連邦警察ブラジリア第5署に侵入を試みた。グループは窓ガラスを壊し、警察車両に放火するなどの暴行を働いた上、空のガスボンベを並べて軍警の接近を阻もうとした。
 これらの行為はこの直前にモラエス判事が先住民リーダーのジョゼ・アカシオ・セレーレ・シャヴァンテ容疑者に対し、ルーラ次期大統領襲撃未遂の容疑で逮捕命令を下したことで起きた。同容疑者は命令後、間もなく逮捕されている。
 同容疑者はルーラ氏当選に反対し、軍事介入を呼びかけるデモのリーダー的存在で、陸軍本部前など、多くの場所でデモを扇動していた。同容疑者の逮捕は連邦検察庁の要請に応えたものだ。
 また、暴動発生を受け、軍警の特別部隊がルーラ氏の宿泊しているホテル周辺で厳戒体制に入るなど、緊迫した空気も流れた。ルーラ氏は別の場所に避難せず、ホテルに留まった。
 ブラジリアの選挙高裁では同日午後、ルーラ氏の大統領選当選の認証式が行われた。式そのものは抗議運動者の侵入などもなく、安全に進められた。ルーラ氏とモラエス長官はそれぞれの演説で、名前こそ出さなかったものの、ボルソナロ大統領とその支持者が行った選挙制度や電子投票に関する虚偽拡散や暴力扇動行為などを強く批判していた。
 次期法相のフラヴィオ・ジノ氏は今回のデモに関し、「連邦政府はこのような馬鹿げたことをまかり通させている。私はまだ手を出せないが、連邦政府はこれらの行為に対応する必要がある」としてボルソナロ政権を批判。「(今回の暴動に関与した)すべての人が責任を問われるべきだ」と、暴力行為には厳しい態度で臨む意向を表明した。
 今回の暴動に関してボルソナロ大統領は何も語っていない。だが大統領は9日、大統領官邸前で、「負ける時は死ぬ時だ。私の将来を決めるのは君たちだ」と、支持者たちを煽るような発言を行って問題となっていた。
 ルーラ氏が次期大統領であることの法的効力は、12日に行われた大統領選当選の認証授与で強まった。世論調査機関クアエストが3~6日に行い、8日に発表した調査では、93%の人が「ルーラ新政権が国を良くすることを応援したい」と答えており、「政権移行は予想より良好」と答えた人も41%いたとの結果が出ている。

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