ルーラ次期大統領は13日、社会経済開発銀行(BNDES)総裁にアロイージオ・メルカダンテ氏を正式に指名した。同氏は労働者党(PT)の中心的な政治家の一人だが、同日に下院で公社法の緩和が認められ、就任に支障がなくなっている。また、フェルナンド・ハダジ次期財相(PT)がガブリエル・ガリポロ氏を財務省のナンバー2として発表した。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
メルカダンテ氏がBNDES総裁にとの噂は12日から拡散し、市場関係者を戸惑わせていた。それは、同氏が市場が期待したような財界の人物でなかったことに加え、同氏がBNDES総裁の資格があるのかが疑問視されていたためだ。
2016年のテメル政権時代に定められた公社法では、公社総裁は「過去36カ月間、(選挙キャンペーンの参謀なども含む)政治的な役職に就いていないこと」が条件とされていた。
メルカダンテ氏の場合、2016年以降、政治的役職にはついていない。だが、今年のルーラ氏の選挙キャンペーンに関与したとみなすか否かには疑問が残るところだった。PT側は「キャンペーンの正式な役にはついていなかった」と主張しているが、ルーラ氏のキャンペーンへの関与に関しては意見が分かれていた。
だが、この日、下院で公社法の規定に関する緩和法案の投票が行われ、承認された。それは「政治的役職についていない期間」を36カ月から30日に大幅に短縮するもので、314対66の圧倒的な大差で承認された。反対した政党は社会民主党(PSDB)とノーヴォ党のみだった。
この法案はまだ上院の承認を得る必要があるが、PT側はメルカダンテ氏の総裁就任に向けて大きく前進したと判断している。
ルーラ氏はBNDES総裁と同時に、ペトロブラス総裁にもPTのジャン・パウル・プラテス上議を考えていると報じられている。同氏は2020年にナタル市の市長選に出馬しており、36カ月の期限に引っかかっていた。
今回、公社法改定法案が容易に承認された背景には、議会内最大勢力である中道勢力のセントロンがそれ以前から同法改正を希望していたことがあると、ジャーナリストのミリアン・レイトン氏などが指摘している。
同日は、フェルナンド・ハダジ次期財相が財務省のナンバー2にガブリエル・ガリポロ氏が就任することも発表した。ハダジ氏によると、この人事は中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁との話し合いで決まったという。
ガリポロ氏は2017〜21年にファトール銀行の頭取を務め、公私共同投資(PPP)の専門家として知られている。また、今年の大統領選のキャンペーン中はルーラ氏の経済関係のアシスタントを務め、財界にルーラ氏の見解を伝える役目も果たしていた。そのため、ルーラ氏の大統領選当選直後から、ガリポロ氏が財相もしくはBNDES総裁になるのではと予想するメディアも多かった。
同日は税制改革特別局長にルーラ政権時代に国税局長を務めたベルナルド・アピ氏も指名され、次期政権が税制改革に本格的に取り組む姿勢も示された。