新型コロナの第3~第5波で揺れた2022年も残すところ半月となった。新型コロナに追われ、注意喚起できなかった事の一つにデング熱がある。
デング熱はネッタイシマカが媒介する。新型コロナのパンデミックが始まった20年と21年は死者減少が続き、胸をなでおろしていた。しかし、今年は割と早い時期からデング熱の流行再燃が報じられていた。
14日付ニュースサイトによると、今月5日までの死者の総数は978人で、既に昨年の4倍だ。19年の840人を超え、15年の986人に迫る勢いで、年末までに1千人を超える可能性さえある。死者が1千人を超えれば、1980年代以降で初めての事態となるという。
同サイトには、今年のデング熱感染患者数は、疑似症患者も含めると140万人を超えており、昨年の54万4千人から172・4%増ともある。
デング熱の感染拡大を防ぐ最善の方法は蚊の発生を抑える事。流行期には監視員が溜まり水の有無を確認して回ったり、軍を動員しての殺虫剤散布を行ったりしていたが、今年はコロナ禍もあり、この手の活動報告は余り聞かない。
また、これまでは患者の発生を聞かなかったサンタカタリーナ州のジョインヴィレやブルメナウでも、上半期に流行状態が起きたという。ジョインヴィレで感染が疑われた患者は5日現在で2万1406人で、全国4番目だ。最多はブラジリアの6万7274人で、2番目のゴイアニアの5万3796人と共に突出している。
専門家は、雨が多く、溜まり水があちこちにできる状態と、国民の注意がそれている事が感染拡大の要因と見ており、デング熱でも死者が出る事を忘れないよう呼びかけている。既に感染した事があると致死率が高い出血性デング熱を起こす可能性が高まるから、なおの事、警戒が必要だ。
新型コロナなら予防接種、マスク着用、人混み回避とこまめな手洗い・消毒が予防策となるが、デング熱では溜まり水をなくす事が第一だ。小さな工夫や注意喚起は自分の命と共に、家族や社会の命も守ることに繋がる。雨の季節は土砂崩れや洪水といった水害だけでなく、デング熱の予防にも従来以上の注意を払う必要がある事を心に留め、年末年始を過ごしたい。(み)