連邦警察は15日午前、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が出した反民主主義的な抗議行動に関する各種令状に基づく捜査を敢行した。エスピリトサント州では幹線道路閉鎖などの非民主的行動に関与したとされるボルソナロ大統領派の州議2人が対象となるなど、全国で100を超える捜査令状が出されており、抗議行動に資金提供を行ったと見られる数十人の企業家の銀行口座の開示及び凍結なども行われた。15日付現地サイトが報じている。
エスピリトサント州での連警捜査は15日早朝から行われた。同州では4人の身柄が拘束され、23カ所で家宅捜査が行われた。連警の捜査は、州都ヴィトリア、ヴィラ・ヴェーリャ、セーラ、グアラパリ、カショエイラ・デ・イタペミリンなどの市に及んだ。
今回の捜査対象にはカルロス・ヴォン氏(民主キリスト教・DC)、カピトン・アスンソン氏(自由党・PL)の2州議も含まれており、州議会にも警官が踏み込んだ。両者は同州で起きた、大統領選の結果に反対し、幹線道路を塞ぐボルソナロ派の抗議行動に関与していたとの嫌疑がかけられている。
アスンソン氏は同日朝、SNSを通じて家宅捜査を受けたことを明かし、「言論や思想の自由を奪われた」との抗議声明を出した。
10月30日の大統領選の決選投票後に行われた幹線道路封鎖などの抗議行動に関してモラエス判事が出した家宅捜査令状は100件以上とされ、一斉捜査は全国に及んだ。昼過ぎの時点で実行された令状はマット・グロッソ州での20件を筆頭に、南マット・グロッソ州17件、パラナ州16件、サンタカタリーナ州15件、アクレ州9件、アマゾナス州2件、連邦直轄区とロンドニア州で各1件となっている。
同判事はまた、これらの行動に対して資金提供などを行ったとされる企業家数十人の銀行口座の開示と凍結も命じている。
今回の一斉捜査は1カ月以上続く、大統領選後のボルソナロ派の抗議行動に対するもので、これまでで最大規模となった。その背景には、12日夜にブラジリアで起きたバス5台、乗用車3台の焼き討ちと、連警ビルへの侵入事件がある。これらの行動は、同日午後にブラジリアの選挙高裁で行われたルーラ次期大統領の大統領選当選の認証式から数時間後に起きた、抗議行動のリーダー逮捕に続いて起きている。
12日の暴動は来年1月1日のルーラ氏の大統領就任式に向けての不安を高めたが、モラエス判事は14日、「これからは多くの反民主主義行動者が逮捕され、多額の罰金が科せられる」と発言。この日の捜査をほのめかしていた。
最高裁は連邦直轄区に対し、年末までは特にボルソナロ派に対する警備を強化するよう要請。フラヴィオ・ジノ次期法相も「ルーラ氏の警備は万全だ」と就任式に向けた用意を進めている。
13日には、ルーラ氏が軍に対して出す最初の命令は軍関連施設前での軍事介入を求めるデモ解散となる可能性が報じられたが、14日には軍側もルーラ次期大統領が就任し次第、デモを解散させる準備をしているとの報道も行われている。