サンパウロ州のロドリゴ・ガルシア知事が16日、1月1日から60~64歳にも公共交通機関を無料で利用する権利を認める条例を裁可し、官報にも掲載したと同日付現地サイトが報じた。
裁可されたのは、同州議会が11月29日に承認した、60~64歳の人に地下鉄とパウリスタ都電(CPTM)、市間バス(EMTU)を無料利用する権利を認めるという条例だ。サンパウロ州では20年末まで、60歳以上の人に公共交通機関の無料利用を認めていた。だが、2021年1月1日以降は連邦令で定められている65歳以上に限定されていた。
同条例の原案はガルシア知事が議会に送ったもので、無料利用の対象は60~64歳で連邦政府の統一登録システム(カダストロ・ウニコ)に登録されている生活扶助受給者のみだった。だが、州議会が60~64歳全員に公共交通機関の無料利用を認めるように修正して承認。同年齢層の人の利用無料化のための予算は2023年からしか計上されていなかったため、1月1日から発効となった。
他方、サンパウロ市のリカルド・ヌネス市長は14日、15日から市内を走るバスに限り、60~64歳の無料利用を認める意向を表明し、15日付官報に掲載したと14~15日付現地サイトが報じた。
これは、サンパウロ州地裁が11月に、2020年の市議会でバスの無料利用者の年齢制限を65歳に引き上げた決議は他法案との抱き合わせで違憲と判断し、無料利用者枠を制限した措置を14日に解除した事を受けたものだ。
ヌネス市長は、60歳以上の無料利用を認可すると共に、バス会社への1億7千万レアル超の補助金の追加も決めた。11月までに払った補助金額は46億レで、来年は74億レとなる見込みだ。
同市長はバス料金の完全無料化も検討中とされているが、公共交通機関の完全無料化はタルシジオ・フレイタス次期知事とも討議する必要がある。
60~64歳の人がバスを無料利用するには高齢者用のビリェッテ・ウニコ(BU)が必要だが、BUができるまでの間は身分証明書(RG)を提示すれば無料で利用できる。高齢者用のBUは写真入りで、他人が使用した事が判明するとキャンセルされたりブロックされたりする。