【既報関連】最高裁が19日、予算案報告官の裁量で支出される議員割当金、通称「秘密予算」の審理を再開し、6対5で違憲との判決を下したと同日付現地サイトが報じた。
現政権で始まった秘密予算は、連邦政府が通したい法案がある場合などに与党中心に支払われ、透明性に欠けている事や偏りがある事から、公的賄賂とも評されている。
ルーラ次期大統領は選挙中も秘密予算撤廃を明言していたが、アルトゥール・リラ下院議長らは秘密予算維持を主張。来年も生活扶助支給額を維持し、選挙公約でもある6歳までの子供への児童手当やインフレ率以上の最低賃金調整などを可能とするための移行PEC(憲法補則法案)承認に向けた交渉でも、秘密予算維持が鍵の一つとなる有様だった。
だが、秘密予算は昨年も透明性欠如などを理由に差し止められており、ルーラ氏らが撤廃を図る前に最高裁が合憲性審理に入った。
14日からの審理の報告官は昨年も差し止めを決めたローザ・ウエベル長官が務め、透明性などの問題は未解決で、違憲と判断。15日は同長官の判断に4人が賛同、4人が反対して審理を終えた。
これを受け、連邦議会は16日、最高裁の審理の行方を見守るために中止していた秘密予算に関する基準作りの審議を再開。秘密予算の8割は議席数に応じて配分し、残りは両院議長団、両院合同予算委員会の報告官と委員長の裁量で払う事、最低50%は保健衛生と社会保障に割り当てる事、外部からの要請は特定議員名で扱う事などを決めた。
だが、リカルド・レワンドウスキ判事は19日の審理の冒頭、秘密予算の基準策定のための16日の決議は評価するが、秘密予算行使に求められる透明性を高めるには不十分とし、秘密予算は違憲との判断を下した。ジルマル・メンデス判事は議会の決議は部分的に有効と判断したが、最終的には6対5で違憲との判決が下った。
フェルナンド・ハダジ次期財相は結審後、ルーラ次期大統領は国益への参加から議会を排除する意図はないと明言したが、透明性は常に問われるとの考えも明らかにした。同氏は、移行PECを含む歳出上限枠外支出についても、議会との協議を重ねていく意向だ。
最高裁は結審後に通年評価を行い、休暇に入った。