大統領官邸から引っ越す準備を進めているボルソナロ大統領夫妻が20日、官邸前に集まった支持者たちに挨拶を行い、ミシェレ夫人がひざまずいて泣き崩れる姿が話題を呼んだ。21日付伯字紙などが報じている。
ボルソナロ大統領夫妻は20日午後6時、大統領官邸前で、掲揚されていたブラジル国旗を下す儀式に参加した。
池の反対側で、いつも支持者たちに声をかけていた場所にはボルソナロ大統領支持者たちが集まり、この儀式を見守っていた。この日のボルソナロ氏は支持者たちに対して遠目で会釈を行うのみで、彼らに歩み寄ったり、言葉を発したりすることはなかった。
大統領夫妻は手を取り合って現れ、儀式の間も並んで立っていたが、国歌の演奏がはじまると、ミシェレ夫人はボルソナロ氏の隣で跪き、約5分間、その姿勢を崩さなかった。夫人は熱心な福音派信者で、この日も「JESUS(ジーザス)」と書かれたTシャツを着ていた。
国旗を下ろす儀式は毎日午後6時に行われ、軍の兵士が国歌を演奏する。支持者達はこの日も演奏に合わせて国歌を歌い、祈りの時をもったが、大統領夫妻はこの後も沈黙を保ったままだった。
ボルソナロ氏はルーラ氏の大統領選当選の認証式が行われた12日、官邸前の支持者らに対し、「我々は88%がカトリックや福音派などのキリスト教者だ」と語りかけていたが、この日はそのような言動はなかった。
大統領の支持者の中には、ボルソナロ氏が引き続き大統領職に残ることを望んで全国の軍施設前で抗議活動を行い、軍事介入を求める人がいるが、大統領が支持者を煽る言動は少なくなっている。
大統領官邸には14日頃から、引っ越し業者のトラックが到着する光景が連日見られていた。16日からは、ルーラ次期大統領を迎える準備らしき清掃作業もはじまっていた。
ボルソナロ大統領は現在、かねてから対立していたグローボ局をはじめとするテレビ局に対する放送免許を15年間更新し、官報に掲載するなど、残された業務を行っている。