7月に発行が始まった、CPF(納税者番号)だけの身分証明書(全国IDカード、Carteira de Identidade Nacional=CIN)が、1月からはサンパウロ州やリオ州、連邦直轄区などでも発行される事になったと21日付R7サイトなどが報じた。
CINは従来の一般登録(RG)に代わる身分証明書で、各州が発行していたRGの番号が割愛され、氏名と一般社会での通り名、全国どこでも共通の番号であるCPF、生年月日、出生地、性別、国籍、有効期限、サインが記載される。
RGは各州が異なった番号を使って発行するため、同一人物が複数のRGを使う事も可能だった。だが、CPFは全国共通で各人に一つしかないため、犯罪者が身元を隠すために他州に住所を移し、新しいRGを取得するといった事態を避けられる。
また、新しい身分証明書は、複数の機関にまたがる個人情報を得たい時などにも、手続きや作業を簡便化する事ができると見られている。CINにはカード版とデジタル版がある。
CINの発行は段階的に行われており、7月のリオ・グランデ・ド・スル州を皮切りとして、ゴイアス州、ミナス・ジェライス州、アクレ州、パラナ州、ピアウイ州と広がっていた。1月からはサンパウロ州、リオ州、連邦直轄区、アマゾナス州、マット・グロッソ州でも発行される。
大統領府総務室によると、これまでに発行されたCINは10万5778件で、まだ発行が始まっていない州でも来年3月までに発行を開始する予定だという。
なお、従来のRGはこれまで通り10年間有効で、CINへの切り替えは義務ではない。CINへの切り替えは無料で、本人からの切り替え要請がない限り、RGの有効期限が切れるのに合わせて順次行われる。従来のRGの有効期限は最大で2032年2月29日までとなる。
CINにはQRコードがついているので、盗まれたり紛失したりしたものかなどの真正性の検証(確認)が容易だ。また、国際基準のMRZと呼ばれるコードも入っているため、メルコスール加盟国への入国も容易になるが、それ以外の国への入国には従来通りパスポートが必要だ。
なお、CINデジタル版はアプリgov.brでダウンロードできるが、こちらはカード版CINを取得してからでないと取得できない。有効期限は年齢によって異なり、11歳以下の場合は5年間、12~59歳の場合は10年間だ。60歳以上の人は更新する必要はない。
CINの発行を希望する場合は、出生証明書や婚姻証明書を添えて申請すれば良いが、CPFが適正な状態にある事も必要だ。