ルーラ政権、目立つ「脱ボルソナロ化」=1204人を一斉解雇=閣僚ら次々と改革宣言

アルメイダ人権相の就任式(Jose Cruz/Agencia Brasil)
アルメイダ人権相の就任式(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 第3期ルーラ政権では新政権スタートと同時に、ボルソナロ前政権のイメージを脱する試みが相次いでいる。1200人以上ものボルソナロ派の役職者が連邦政府から更迭され、閣僚たちからも前政権とは異なる方向性を示す発言が繰り返されている。1~4日付現地紙、サイトが報じている。
 ルーラ政権は2日付の連邦政府官報で、連邦政府や連邦諸機関の役職者1204人の更迭を発表した。更迭者には大統領府や各省庁の特別補佐官、連邦警察や連邦道路警察の長官が含まれ、国立インジオ保護財団(Funai)、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)、生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所、ブラジル鉱物院(Ibram)、ブラジル情報庁(Abin)、国立歴史美術遺産院(Iphan)などにも及んでいる。更迭はルイ・コスタ官房長官の名前で行われた。
 これらは軒並み、ボルソナロ前大統領の息のかかった部門として知られていた。特に、環境関係は保守イデオロギー的な人事が行われ、環境犯罪の取り締まり悪化で強い批判も受けていた。
 更迭された役職者の一例としては、熱狂的なボルソナロ派で最高裁判事全員解任などを訴えて逮捕され、被選挙権を剥奪されたダニエル・シルヴェイラ元下議を表彰して物議を醸した全国図書館財団(FBN)の会長や委員などもある。
 ルーラ新政権による改革はその他の場面でも進んでいる。国庫庁(CGU)のヴィニシウス・マルケス長官は3日、ボルソナロ前大統領が国家機密として100年間の開示禁止を命じた項目の見直しを行うことを宣言した。守秘事項の中には前大統領自身に関する事柄や、パンデミック下の2020年のエドゥアルド・パズエロ元保健相に関する情報などが含まれている。軍人のパズエロ氏が軍の許可もなく、政治集会に参加した件では複数のメディアが情報公開を求めたが、軍がそれを拒否して物議を醸したりしている。
 法務省関係でも改革が進んでいる。ルーラ大統領が2日付官報に掲載した大統領令の一つは、収集家、スポーツ射撃家、狩猟者の俗に(CAC)と呼ばれる人たちの銃の登録、所持、携行を厳格化している。
 また、フラヴィオ・ジノ法相は3日、2018年3月に起きたマリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件の担当を連警に移し、解決を早める意向を表明。同事件はボルソナロ前大統領とつながりのあるミリシアが殺害実行犯で、前大統領一家の関与疑惑が噂され続けている。
 3日はシルヴィオ・アルメイダ人権相も、就任挨拶で「嫌悪に基づく全ての行為を見直す」と発言。性や人種などに基づく差別に対しても厳しい姿勢を示し、人権を侵す可能性のあるあらゆる条令の撤廃を誓った。
 保健相のニジア・トリンダーデ氏は2日の就任式で「科学と対話を基にする」と強調。ジャデール・フィーリョ都市相は3日、労働者党(PT)政権の低所得者向け持ち家政策「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ」復活を発表した。

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