ルーラ政権に入閣したウニオン・ブラジルの閣僚がリオのミリシア(民兵組織)との強い関係を指摘され、問題となっている。3〜5日付現地紙、サイトが報じている。
ミリシアとの関与を指摘されているのは観光相に就任したダニエラ・カルネイロ氏だ。ダニエラ氏はリオ州ベルフォード・ロッショの市長ヴァギーニョ氏(ウニオン)の夫人として知られ、2018年に「ダニエラ・ド・ヴァギーニョ」の名で下議初当選。2022年の下議選ではリオ州でトップ当選を果たした実績の持ち主で、今回の観光相就任を期にダニエラ・カルネイロに改名している。
だが、ダニエラ氏は2018年の下議選の選挙キャンペーンで、リオ州フルミネンセ海岸部のノヴァ・イグアスー市の5地区を仕切るミリシアの大物ジュラシー・アウヴェス・プルデンシオ氏(通称ジュラ)とその妻から支援を受けていたことが判明している。
ジュラ氏は2008年にリオ州議会の「ミリシア議会調査委員会(CPI)」の最終報告書でリストアップされた元軍警で、2009年に殺人事件に関与したとして26年の実刑判決を受けて服役。2011年には軍警から追放されたが、2017年に昼間の外出許可があるセミ・アベルトになった後、ヴァギーニョ氏に請われてベルフォード・ロッショ市の都市秩序局のディレクターに就任。翌18年の下議選ではダニエラ氏や別の州議のキャンペーンで演台にも並び立っていた。
ジュラ氏が選挙キャンペーンに参加していたことは2018年に問題となり、外出許可が取り消されたが、ベルフォード・ロッショ市役所は当時、同氏とは雇用契約を結んでいないと説明していた。
ダニエラ氏は、ジュラ氏の妻でノヴァ・イグアスー市元市議のジアーネ氏からも、2018、22年に選挙応援を受けている。
さらに、ダニエラ氏には元下議職員の二重給与疑惑があり、選挙裁判所への申告所得の急増、選挙キャンペーン中に護衛が行った暴力行為なども問題となっている。
今回のスキャンダルに対し、ダニエラ氏は4日、携帯電話のワッツアップ・グループに対し、「政敵が自分を引きずり降ろそうとしているだけだ」として気に留めない姿勢を示している。
また、ルイ・コスタ官房長官、アレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官(共に労働者党・PT)は今回の騒動に関し、「ダニエラ氏の役職に影響するほどの問題ではない」との見解を示している。
だが、PTや連立政党の連邦議員らは今回の件を問題視。彼らはこの件を理由として、ルーラ氏の連立政権からのウニオンの離脱を促したい意向だ。
ウニオンはもともと保守派の政党で、現在のルーラ政権の中では異色の存在だが、ボルソナロ前大統領との対立のためルーラ政権での連立に至っていた。
ルーラ氏自身も昨年の大統領選のキャンペーンの際、ボルソナロ氏に対する攻撃材料として、リオ州のミリシアとの結びつきをあげていた。