5日、ルーラ政権の入閣で最も注目されていた人物のひとりだったシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)が、企画予算相に就任した。テベテ氏はフェルナンド・ハダジ財相(労働者党・PT)との間で経済に関する方針の違いがあることなどにも触れながら、「最優先すべきは貧困層」と語った。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
昨年の大統領選では3位で、ルーラ氏の決選投票での援護射撃となるキャンペーン協力で一躍注目されたテベテ氏の入閣は、ルーラ氏当選直後から注目されていた。本人はボルサ・ファミリアを管轄する社会開発相を希望していたが、それはPTの管轄となった。
テベテ氏が就任した企画予算相は、昨年までの経済省から独立した大臣職だが、ボルソナロ政権以前は60年代から存在しており、主に国家予算を管理する役職として知られている。
テベテ氏は当初、同職を断っていたが、就任挨拶でその理由を、「ルーラ政権の経済部門で最も重要な大臣はハダジ氏。私は彼とは経済理念が異なるし、アルキミン副大統領やエステル・ドウェック公共サービス管理革新相とも違っていた」としていた。
一方、テベテ氏は受諾の決め手になったのは、「違うからいいんだ。なぜなら私は民主主義国家の大統領なのだから」というルーラ氏の口説き文句だったことも明かした。
テベテ氏の同相就任への懸念の裏には、2026年の大統領選でハダジ氏と争う可能性があることが挙げられる。ハダジ氏は2018年の大統領選に収賄などの嫌疑で有罪・受刑となったルーラ氏の代理として出馬し、次点となるなど、ルーラ氏の後継者と目されている。
テベテ氏は企画相としての抱負として「貧困層を助けること」を第一として、公的支出のコントロールと、社会的弱者の統合(インクルゾン)の両立は可能だと説いた。
「国家予算には子供から高齢者、女性、黒人、先住民、LGBTも全て含まれている。これまで見え難かった部分を見えるようにするべき時がきている」「現状としては、貧しい人にはパン、家のない人には避難所、未来のためには子供たちにより質の良い科学技術やスポーツ、文化を提供する学校が必要だ」と語り、ルーラ政権としての理念の一致や、ボルソナロ政権との違いを強調した。
テベテ氏は税制改革の必要性も説いた。前日の4日には、商工開発相を兼ねるアルキミン副大統領が税制改革案を連邦議会に提出したばかりだ。これに同調するように、テベテ氏も州ごとの経済格差是正や貧困対策のための地域プロジェクトの立ち上げを約束した。
さらにテベテ氏は、9日に企画省の人事を発表することも約束した。テベテ氏は省内人事でも人種や性別、社会階層など、多様性に富んだ人選を行いたいと語っている。同氏は4日、これに関して、「黒人女性を選ぶことだけがどうしても難しかった」と語ったが、それを聞いたアニエレ・フランコ人種平等相がテベテ氏に役職を果たせるはずの黒人女性のリストを送って話題を呼んでいる。