ボルソナロ派数千人が8日、ブラジリアの連邦議会、最高裁判所(STF)、大統領府(プラナルト宮)を襲撃、破壊した事件に抗議するため、翌9日夕方、サンパウロ市のパウリスタ大通りなどで数千人が集まって集会を行い、「ボルソナロ逮捕を」との叫び声を上げた。9日付G1サイトなどが報じた。
このデモは「ポヴォ・セン・メード」(恐れない国民)、「ブラジル・ポプラル」(人民のブラジル)、「コアリソン・ネグラ・ポル・ジレイトス」(人権擁護のための黒人連合)といったグループが呼びかけたもの。サッカークラブのコリンチャンス、パルメイラス、サントス、サンパウロの応援団も参加した。デモ隊は午後5時ごろに到着、「恩赦も赦免もなしでボルソナロ逮捕を」と叫んだ。
ギリェルメ・ボウロス連邦下院議員(PSOL・社会主義自由党)は抗議中、タルシジオ・デ・フレイタス州知事(共和党)に向け、「サンパウロでイバネイス(3権施設への警護怠慢で停職中の連邦直轄区知事)の真似をしようと思うな。そうはさせない。クーデターの実行犯が連邦議会に侵入しようとし、警察が軟弱であれば、我々は武力で排除する」とのメッセージを叫んだ。
さらに「我々はルーラ大統領を選んだ。この国の街頭を明け渡すことはできない。直轄区への連邦介入を通じて正義を実行し、クーデター計画者を打ち負かす。クーデター計画者を街頭に立たせないことでも我々は勝利する。恩赦を出されないために戦おう」と付け加えた。
エドゥアルド・スプリシー聖市議(PT・労働党)は現行憲法のコピーを手に、首都の3権中枢施設へのテロ事件の犯人に恩赦を与えないこと、実行犯を裁判で罰することを求め、街宣車上で演説した。
サンパウロ現代美術館(MASP)前の6区画は、午後6時半までデモ隊で埋め尽くされた。サンパウロ市交通機関公社によると、このデモのために23路線のバスが迂回し、同大通りの6区画の車線が封鎖され、午後9時半にようやくバスは通常路線に戻った。
8日に首都で開催されたルーラ大統領と知事との会議では、ボルソナロ派のタルシジオ・サンパウロ州知事までが首都での破壊行為を非難し、「サンパウロではこれを認めない」と述べた。同知事は、「ブラジルが歩むための議論は思想上で行うべきで、野党は責任をもって方向性を示さなければならない。デモは暴力や権利の侵害があった瞬間から、正当性と理性を失う」と距離を置く発言をした。
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8日の反民主主義的な暴挙を受け、9日は全国各地で民主主義擁護のためのデモが行われたが、サンパウロ市のパウリスタ大通りでは、偽物の銃を持ってデモ参加者を脅していたボルソナロ派の人物の逮捕劇も起きた。SNSで流れたビデオには、同大通りに来た目的を訊かれた男性が「お前たちを殺すため」と答える声も収録されていた。