ブラジル訪問中の林芳正外務大臣は9日、首都ブラジリアを訪れ、マウロ・ヴィエイラ外務大臣と会談し、8日にブラジリアで行われた抗議行動に対し、「暴力により民主主義を脅かすことは許されるべきではない」と述べ、新政権への支持を改めて表明した。両大臣は「世界最大のブラジル日系社会と、在日のブラジル社会は両国の重要な架け橋である」との認識を共有し、両国日系社会を通じた協力の強化をしていくことを確認した。
会談で林大臣は、日本とブラジルは「基本的価値観を共有する戦略的グローバルパートナー」であるとし、両国の交流活性化の展望や、食料やエネルギー、鉱物資源分野における経済協力関係強化、新政権が行うビジネス環境整備によって日本企業の投資が拡大することへの期待を語った。ルーラ大統領が重視する環境問題への取り組みにも協力を深め、保健や衛生、刑事司法分野での協力も進めていくとした。
日本政府がブラジルを含む中南米の日系人の農協や医療団体などを支援するために6・4億円の資金援助を行うことを決定したことも明かした。
ヴィエイラ大臣は「新政権においても日本との友好関係を更に強化していきたい」と述べ、ブラジルはビジネス環境改善に取り組んでおり、日本企業からの投資と貿易拡大を期待していると話した。
両大臣はウクライナ情勢、東アジア情勢等に関しても意見交換を行い、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持、強化に向けて協力連携することで意見が一致した。両国は国連安保理非常任理事国同士でもあり、安保理内外で連携していくことを確認した。
会談は2014年に発表された「日伯戦略的グローバルパートナーシップ構築に関する共同声明」に基づいて行われた。