【既報関連】8日にブラジリアで起きた反民主主義的な暴挙に関し、ルーラ大統領が12日、「誰かが侵入を容易にした」と発言。労をいとわず、より綿密な捜査の結果が出るのを待って、暴挙に関与した人物の扱いや大統領府の警備のあり方などを見直す可能性があると12日付現地紙、サイトが報じた。
ルーラ氏の発言は12日朝、ジャーナリスト達との朝食会の席上で行われた。同氏によると、8日に起きた連邦議会と最高裁、大統領府への侵入破壊事件の際、「プラナルト宮殿(大統領府)の扉は破壊されておらず、誰かが大統領府の入り口を開け、暴徒達の侵入を容易にしたと確信している」という。大統領府の扉が無傷だった事は9日の報道でも明らかにされていた。
大統領は、過激派によるテロ行為を黙認していた連邦直轄区(DF)軍警や軍の兵士もいたとし、冷静に調査を行い、実際に何が起きたのかを確認するとの意向も表明した。
DFの治安当局が事件直前に警備計画を変更し、ボルソナロ前大統領支持者達が三権広場に入るのを容易にした事は法務相や連邦政府が指名したDFの治安監督官も指摘している。12日付エスタード紙などは、大統領府安全保障室(GSI)が一旦強化したはずの警備体制を解除する文書を出したため、8日は通常の警備体制だったという不可解な動きについて報じている。
法務省や連警はテロ行為で逮捕された人物の身元確認や資金などの援助者の特定も行っているが、大統領は、政府内で役職を担っている軍関係者に関する綿密な調査も行い、民間人による執務体制構築を望んでいる事も明らかにした。この意向は今回の事件後も国防相を更迭しない理由の一つともなっている。
なお、暴挙後の逮捕者の身元確認は進み、既に1千人以上の身元が判明。ボルソナロ派の人々が交わしていたSNSのメッセージなどからも、テロ行為の扇動者や援助者の特定が進んでいる。
司法、行政、立法の長達は事件後、テロ行為に関する徹底調査を行い、暴挙に関与した人物を厳重に罰する方針を表明した。連邦議会政府リーダーのランドルフ・ロドリゲス上議も11日、議会が承認したDF治安部門への連邦介入に関する大統領令を大統領府まで届けた際、議員バッチや裁判官のマントなどの有無に関わらず、テロ行為に加担した人物は厳罰に処すべきと主張した。
既に判明済みのテロ行為参加者には政治家や企業家、治安関係者なども含まれている。また、資金援助者は少なくとも10の連邦自治体で確認済みで、その内の52人に対しては連邦総弁護庁(AGU)が資産凍結を要請している。
テロ行為への資金援助者が多いのはパラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州、サンパウロ州、サンタカタリーナ州、ミナス州、マット・グロッソ州、ゴイアス州で、前大統領派の企業家や銃収集家らの名前が連なっているという。銃収集家らは昨年末も、ルーラ氏が就任すれば銃を返さなければならなくなるとして、当選認証や就任を妨げようとしていた。
また、最高裁や選挙高裁は11日、ボルソナロ氏が所属する自由党(PL)所属でテロ行為への関与が疑われている当選下議6人の就任差し止め要請も受け取っている。