《街角ちょっと見》高級地に出没するピエロの正体とは?

街中に出没するピエロ姿の青年

 ある平日の昼間、サンパウロ市でも屈指の高級ビジネス街ビラ・オリンピアに行くと、街角のいたるところにピエロ姿の青年がいた。
 彼らは顔を白塗りにし、唇は赤、目の下に星マークや涙マークなどピエロの化粧をしている。服装はピエロの派手な一張羅やブラジルカラーのカラフルなものだ。街中を歩くビジネスマンに手に持った手帳を見せながら声をかけている。
 ピエロの青年は、パウリスタ大通りでもよく見かける。以前から「あのピエロはなんなのか?」と疑問に思っていたので声をかけてみた。
 ピエロの青年の名は、ペドロ・オリベイラさん(24歳)といった。謎の手帳の中身を見せてもうと、中には貧しい人の為の寄付活動についての紹介が書かれていた。彼らは貧しい人の為に寄付活動を行っていた。
 手帳には寄付された物資を貧民街の家族や子供たちに渡す様子の写真や、ネイマールなどの著名人と共に写った写真、PIXでの寄付方法やセスタバジカなどの寄付セットの値段などの説明メモなどが挟まれていた。
 ペドロさんによれば、ピエロの多くは、サンパウロ市の貧民街出身の青年だという。主にマウアー、ジアデマ、エリオポリス、ABC地区のサントアンドレやサンベルナルド・ド・カンポだそうだ。ペドロさんはジアデマ市の貧民街出身だという。
 何故ピエロの恰好をしているのかと聞くと、「貧民街(ファベーラ)やその出身者は、人々から、治安の悪さ、薬、銃撃といった暗いイメージを持たれている。暗いイメージを払拭したいから、明るいピエロの恰好をしているんだ」と語った。
 「こちらとしては、街中で急に謎のピエロに声をかけられるほうが怖いのだが…」と思ったが、口には出さず。時期がクリスマス前だったこともあり、片手に持っていたパネトーネの寄付をせがまれたが、家族の分なのでと丁重に断り、少しばかりの寄付を渡して、その場を後にした。
 後日、ピエロの青年らが寄付を拒んだ人に暴言を浴びせ、当局に苦情が寄せられているとの報道を見て、なんとも複雑な心境になった。(淀)

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