連邦検察庁は16日、8日に起こった三権中枢施設襲撃事件に関し、上院を襲った容疑者39人を最高裁に起訴した。また、連邦議会が襲撃時の未公開の映像を公表し、被害状況を訴えることも行われた。16、17日付現地紙、サイトが報じている。
この起訴状は、検察庁のカルロス・フレデリコ・サントス副長官によって署名が行われた。同副長官は検察庁内に先週立ちあげられた「反民主主義行為撲滅戦略グループ」のリーダーだ。
検察庁が起訴の対象としたのは、1100人を超える逮捕者のうち、上院で逮捕された39人だ。ロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)は13日にアウグスト・アラス連邦検察庁長官を訪れ、上院が受けた被害についての報告を行っている。
検察庁は起訴に至った罪状として、「武装しての集団犯罪」「民主主義国家に対する暴力行為」「クーデター(ゴウピ)」「暴力や可燃物を使った公共を破壊で損害を与えた」「歴史的財産の破壊行為」をあげている。
サントス副長官はグローボ・ニュースへのインタビューで、「このようなことがくり返されないためにも厳しく罰していきたい」と語っている。同副長官は、今回起訴した容疑者らの目的は現政権を転覆させることだったとしている。
このグループが起訴された背景には、ここ数年間、連邦検察庁がボルソナロ前大統領ならびにその支持者たちが行ってきた反民主主義的行動に甘いという批判があったことがある。アウグスト・アラス検察庁長官は、検察庁内の選挙で選ばれた3人の候補(トリプレセ)から選出という慣例を破り、2019、21年の2度、ボルソナロ氏から長官に選ばれており、これまでもボルソナロ氏に対する訴えの多くをお蔵入りさせている。
検察庁は最高裁に対し、「総額4千万レアルの資産差し押さえ」「再犯防止のための拘束延長」「パスポート没収」「ネット上の書き込みの削除禁止」などを求めている。
また、この日、連邦議会は三権中枢施設襲撃に関して、監視カメラに記録された未公開映像を公開した。そこでは、大統領府に飾ってあった歴史的置き時計が破壊される映像が話題を呼んだ。この時計は17世紀にフランスで作られ、フランス王室がドン・ジョアン6世に寄贈。伯国に着いたのは1808年で、ドン・ジョアン6世自身が持参した。
さらに16日、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は、襲撃に関して支持もしくは容認するような言動を行ったと見られていた次期下議のニコラス・フェレイラ氏(自由党・PL)、クラリッサ・テルシオ氏(PP)、アンドレ・フェルナンデス氏(PL)に関しては「犯罪性はない」と判断しているが、「襲撃なぞなかった。誤解されている」との発言を行ったアビリオ・ブルニーニ次期下議(PL)に関しては、「責任は追及されることになる」との見解を語っている。
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8日の三権中枢施設襲撃事件が今も尾をひくブラジル。容疑者たちの動向も気になるところだが、フォーリャ紙によると、逮捕された容疑者たちは収監された施設に関し、食事や清掃に不満を述べているのに加え、「インターネットのWiFiの状況が良くない」などと発言しているという。これらの不満に対し、収容所で苦情を聞いたある判事は「逮捕されるということは意のままにはならないということ」と話しているという。逮捕されてもインターネットが使えると思っていることが問題だが、逮捕当初は逮捕者による収容所レポートも多く行われていたとか。犯罪者としての意識はあるのか?