ボルソナロ、被選挙権喪失の可能性=襲撃事件以降に加速化=PLはゼマ擁立の準備?

ボルソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
ボルソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 三権中枢組織襲撃事件で、自由党(PL)は同党所属のボルソナロ前大統領が被選挙権を失う可能性について真剣に考え始めたと、18日付伯字紙、サイトなどが報じている。
 ボルソナロ氏は、最高裁が連邦検察庁の要請に応じたことにより、13日に三権中枢組織襲撃事件の捜査対象に加えられた。
 大統領選後も選挙結果を認めないボルソナロ氏の姿勢が暴徒化した支持者たちに与えた影響は事件発生当初から問われていたが、12日にアンデルソン・トレス前法相の自宅に選挙結果を変える条令の原案が発見されたことでそれが更に加速。選挙高裁は16日に、米国滞在中のボルソナロ氏に対し、この条令提案に関する説明を3日以内に行うことを求めている。
 また、ルーラ大統領の労働者党(PT)はこの事件以前に、16件の嫌疑でボルソナロ氏を選挙高裁に訴えている。それには、ボルソナロ氏が大統領の職権を乱用してアウシリオ・ブラジルの増額や燃料代の値下げを強行して選挙を有利にしようとしたことや、ネットで虚報を拡散し続けたことなどがあげられている。
 さらに襲撃事件の2日後にボルソナロ氏が行った、「ルーラ氏は選挙高裁が決めた大統領であり、最多得票ではなかった」とする投稿の拡散も、被選挙権を失いうる問題行為だと指摘されている。
 そうしたことから、2026、30年の大統領選へのボルソナロ氏出馬が難しくなってきているとPLが認識し始めていると報じられている。G1サイトによると、同党リーダーは、ボルソナロ氏が日に日に孤立し、支持がPLに絞られてきただけでなく、PL内ですら同氏を疑問視する声が出始めていると見ているという。
 また、エスタード紙によると、PLはボルソナロ氏が出馬できなくなった場合に備え、ミナス・ジェライス州のロメウ・ゼマ知事を同党の次の大統領候補として擁立すべく、入党させようとしはじめているという。ゼマ氏はかねてから26年大統領選の出馬が有力視されていたが、所属政党が小政党のノーヴォであることから、大型政党への移籍が行われるかが注目されていた。
 また、ゼマ氏は16日に、「襲撃事件が起きたのはルーラ政権の対策が甘いからだ」と批判。これに対してフラヴィオ・ジノ法相が「カンジダート(候補者)」とゼマ氏を呼んで揶揄したが、これもゼマ氏が大統領候補のひとりとしてとらえられていることを示している。
 一方、グローボ紙は、最高裁が既にボルソナロ氏の処遇について話し始めていると報道。それによると、判事たちは「次なるテロ行為を招くことになり得る」として即座の逮捕は否定。同氏に関する情報を集めることに集中したいという。だが、判事たちは、襲撃事件が起きたことでボルソナロ氏が被選挙権を失う可能性がより高くなったと解釈しているという。
 先日公開されたコーポレートカード(公用法人カード)の用途の一部が公金横領に当たる可能性も指摘されており、18日にはボルソナロ氏が米国滞在期間を延長する可能性も言われ始めた。

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