軍の報告により、ボルソナロ前大統領時代に大統領府に勤務していた軍人少なくとも8人が、三権中枢施設襲撃事件前にブラジリアの軍本部前で行われていた、軍事介入などを求めるデモに参加していたことが明らかになった。20日付伯字紙が報じている。
大統領選の結果を不服とするボルソナロ派の軍施設前でのデモは全国規模で行われていたが、ブラジリアの陸軍本部前のキャンプ参加者は、昨年12月12日のルーラ氏の大統領選当選の認証式の夜に起きた暴動、同月24日にブラジリアの空港近くでトラックに仕掛けられた爆弾騒動、そして今月8日の三権中枢施設襲撃事件の主体となっただけに、特に問題視されている。
軍の最新報告では、大統領府勤務だった8人がブラジリアのキャンプで抗議行動を行っていたとあり、その大半が、ボルソナロ氏の右腕的存在だったアウグスト・エレーノ長官時代の大統領府安全保障室(GSI)のメンバーだったという。
調べによると、彼らは程度のいかんに関わらず、私服(ほとんどの場合はブラジルサッカー代表のユニフォーム)を着てデモに参加していた。また、その中の一人はルーラ氏の労働者党(PT)に対して明確な暴力行為をと訴えていた。
彼らはワッツアップでも暴力的なメッセージのやりとりを行っていたことが判明している。特に問題視されたのは、演説するルーラ氏の姿がスナイパーの標的圏内に入るという、1月1日のルーラ氏の大統領就任式での暗殺テロを呼びかける内容の動画だ。
軍人の具体名も既に明らかにされている。陸軍がアレッシャンドレ・ヌーネス大佐、空軍がアゼヴェド軍曹なる人物、海軍がマルシオ・ヴァルヴェルデ軍曹、ロナウド・リベイロ・トラベッソ氏、エステヴォン・ソアレス氏、チアゴ・カルドーゾ氏、マルコス・キエーレ氏、フェルナンド・カルネイロ・フィーリョ氏だ。
中でも、トラベッソ氏は、ルーラ氏の支持者がキャンペーン中に見せた指で作ったLの字を自分の兄弟の頭に銃の形にして突きつける行為が動画で確認されている。同氏はさらに、ワッツアップ上でのエステヴォン氏との会話で「Lの字を作るのはテロリストの行為だ。あいつらは皆、死ななければならない」と発言。それはエステヴォン氏によって削除されていた。
19日付の大統領府官報では、ヴァルヴェルデ氏とキエーレ氏の2人が懲戒免職処分を受けている。
また、20日付G1サイトによると、陸海空の3軍の司令官は20日に持たれたルーラ大統領や国防相との会合に出席。ジョゼ・ムシオ国防相が会合後に述べた見解によると、過激派によるテロ行為に関与した軍人はごく一部で、司令官たちは一連の抗議行動に参加した軍人の処罰に同意した上、再発防止に努める意向も表明したという。3軍の司令官たちは軍人には政治的に中立であることを求めると共に、大統領と新たな関係を築きたいと願っているという。