人口増加や土地代高騰などで、大都市やその周辺市では世界的に住居の小型化が進んでいると19日付G1サイトなどが報じた。
サンパウロ市などでは数年前から、少々狭くても職場や学校、公共交通機関に近い場所が良いと考える傾向が若い人を中心に広がっているといわれていた。だが、現在は大都市中心部を中心に小型化が進み、世界的な傾向になっているという。
サンパウロ市の場合、市中心部では10平米で20万レアルというアパートもあり、ある程度の広さのアパートを望む人は、市の中心部まで出て来るのに時間がかかる事を覚悟する必要がある。
サンパウロ商用・住宅不動産売買・賃貸・管理者組合(Secovi―SP)が2022年にまとめた報告書によると、サンパウロ市で売り出される30平米以下のアパートは急増中だ。具体的に見ると、2016年1~5月に売り出された30平米以下のアパートは30軒だったが、22年の1~5月は5066軒だった。
サンパウロ市で売り出された小型化住宅の典型例は、同市中央部のサンタセシリア区で売り出された、10平米のアパートで、22年の売り出し時には、「ラ米一小さなアパート」という謳い文句が添えられていた。アパートの中は、トイレが区切られているだけで、台所(キッチンシンク)は寝室と一体化されている。
販売業者は、狭い事の利点として掃除が簡単とした上で、地下鉄その他のサービスの利用が容易と宣伝している。アパートの価格は20万レアルだった。
この物件を売り出した業者は2017年に77平米のアパートも売り出していたが、こちらの販売価格は10平米あたり9・9万レアルだった。
その他の国々の例を見ると、韓国では3~5平米のマイクロアパートが提供されているという。こちらは一人暮らしの学生や高齢者を念頭に置いたもので、窓の有無や個別トイレか共同トイレかといったオプションがある。これらのアパートでは通常、台所や洗濯場は共用で、男性と女性が入る階は分けられているという。同国在住のブラジル人によると、マイクロアパートの家賃は1900レアル程度だという。
また、ロンドンでは2021年に幅1・7メートルで5階建てという同市内でも最も幅の狭い家屋が売り出されて話題となった。この家屋は19世紀の終わりから20世紀の始めにかけて建設されたもので、医師の診療所と美容院の間に挟まれており、帽子の倉庫として使われていた。
台所は中2階にあり、裏手には幅2・5メートルの庭もある。販売価格は130万ドル(現在の価値で660万レアル)だったが、これは歴史的価値と立地条件故の高額物件と説明された。英国での家屋の平均販売価格は25・6万ポンド(現在の価値で160万レアル)だ。
なお、東京も小型化された住宅が多く、職場に近い家を探す若者向けには9平米という物件もある。この手のアパートの借り手は20~30代が8割を占めているという。