裏千家=華やかでおしゃれな初点=熱帯の楽園で抹茶とジャズ

 茶道裏千家ブラジルセンター(林宗一(そういち)代表)は15日11時、サンパウロ市ベラ・ビスタ区の最高級ホテル「ローズ・ウッドホテル」にて初点茶会を100人限定で開催した。コロナ禍の影響で昨年は「新年会」という形だったが、今回から通常の初点に戻った。

 同ホテルは昨年1月にシダーデ・マタラーゾ(マタラーゾ邸宅跡地)にオープンした豪華宿泊施設。北米雑誌「Travel+Leisure」による「昨年オープンした世界の新ホテル100選」に選ばれた。まるで熱帯の楽園に誘われるような入り口が特徴だ。
 当日は別室で、椅子に座る形式の立礼式(りゅうれいしき)の席が設けられた。数回にわけてしめやかに茶の提供が行われ、来場者が順繰りに抹茶を楽しんだ。
 司会の山室エルベルト信(まこと)さんが来賓の紹介をした後、林代表が挨拶に立ち、茶道の本質について「何万年の昔、我々の祖先が洞窟や質素な住居の中で、人類の営みの基本となる火を囲み、飲食し、心を通い合わせ、喜怒哀楽を分かち合っていたころからの、根源的な風習が込められています」と説明し、来場者の新年の飛躍を祈る言葉をおくった。
 桑名良輔在サンパウロ総領事は「コロナ禍を越えて一期一会の気持ちが強くなった。これは茶道が何百年も前から教えてきた神髄に重なる。日本語の『有難い』という言葉は存在するのが難しいという意味であり、まさに一期一会の精神そのもの」と新年に皆でお茶に親しむ意義を強調した。
 さらに石川レナトブラジル日本文化福祉協会会長、エリソン・トンプソン・デ・リマ氏らが挨拶を行い、ブラジル日本都道府県人会連合会の市川利雄会長が「まずは1分間、黙祷して今年の目標を思い浮かべてください」と呼びかけ、「サウーデ、ヴィバ、カンパイ」と乾杯の音頭を取った。
 本業が建築家のバウデルソン・デ・ソウザさん(茶名・宗知)は、「ブラジルでの日常生活は常に頭に血が上るような場面が多い。そんな時はお茶を飲むことで心が鎮まる。日本の素晴らしい文化です」と述べ、首都の政治家にも飲んでほしいと穏やかな笑顔を浮かべて語った。

 来賓の一人、クイックリートラベルの文岡正樹社長は「初点には3回ぐらい参加している。このイベントに参加すると年が始まったと引き締まる感じがする」としみじみ語った。
 後半はアトラクションとなり、豊田豊さんの作品や資生堂商品セットなどの豪華景品が当たるビンゴも行われて盛り上がった。最後にはクレイトン・ソウザ氏ら3人によるジャズ演奏会。出だしには、通常は琴と尺八で演奏されるお正月の定番曲「春の海」を、ギターとテナーサックスで奏でるなどの遊び心溢れる演奏が披露され、和やかに幕を閉じた。

最新記事