JRがレールパス引換を拒否?!=領事館発行の書類持参を推奨

JRのジャパンレールパスの窓口

 先月15日頃、サンパウロ市在住の70代戦後移民がJR川崎駅へ立ち寄ってジャパンレールパス(以下JRPと略)の引換を行おうとしたところ、「領事館発行の10年以上居住の証明書がないと引き換え出来ない」と言われ落胆して帰ってきたと、編集部に連絡があった。
 本人は「身分証明書(イデンチダーデ)」とパスポートで可能だと思っていた。「サンパウロで購入時、日本で引き換えの際、居住証明が必要と誰も言ってくれませんでした」と怒り心頭の様子。そこでJRPサイトを調べ、関係者に話を聞いてみた。
 同サイトの利用要綱(https://japanrailpass.net/pdf/conditions_ja_20200601.pdf)によれば、2017年6月1日以降、海外在住者がJRPの引換証を購入した際、日本に行ってからJRPに引き換えるためには(1)日本国旅券(コピーは不可)、(2)在外公館で取得した在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類が必要とある。
 つまり前提として、現在住んでいる外国に連続10年以上住んでいないとJRPを使う資格が得られない。
 (2)の確認書類は次の2種類。
①在外公館が交付する「在留届の写し」(在留届の受付日付が10年以上前のものに限る)
②在外公館が発行する「在留証明」(「現住所に住所(または居所)を定めた年月日」として、10年以上前の年月が記載されたものに限る)
 特例としてブラジル・米国・カナダの在住者に限って、(2)の書類の代わりに在留国が発行する永住カードが確認書類として利用できる。
 ここで問題になるのはブラジルの新イデンチダーデ(以下IDと略)だ。18年9月以降にIDを更新・再発行した人は要注意だ。新IDには在留開始日の記載がなくなったからだ。新IDでは10年以上在留していることが証明できないので、旧IDと一緒に提示する必要がある。
 同利用要綱にも《新様式「CARTEIRA DE REGISTRO NACIONAL MIGRATÓRIO」のみでは、在留期間が10年以上であることが確認できないため、引換証のお買い求め及びパスへの引換はできません》と明記されている。
 移住者の大半は18年以前に60歳を越えているので、再発行していない限りは旧IDを所持しているはず。だから、そのままパスポートと一緒に旧IDを提示すれば問題ない。
 だが冒頭の戦後移民の場合のように、もしもJR駅窓口で係員から「どうしても領事館発行の書類が必要」と言われたら、利用要綱を印刷もしくはセルラーに表示して見せたほうが良い。
 一番無難なのは、費用は掛かるが、最寄りの領事館発行の書類を用意していくことだ。
 この件についてクイックリートラベルの文岡正樹社長に聞くと、「弊社では、一世の方がJRP引換証を購入される際には、領事館の書類をご用意されることを強くお勧めしています」とアドバイスした。

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