21日、ジュリオ・セーザル・デ・アルーダ陸軍司令官がルーラ大統領によって解任された。アルーダ氏は8日の三権中枢施設襲撃事件に参加した過激派のボルソナロ前大統領支持者の不逮捕を主張するなどの行為が見られていた。22〜23日付現地紙、サイトが報じている。
この解任は20日に行われたルーラ大統領とジョゼ・ムシオ・モンテイロ国防相、陸海空の三軍司令官の会合後に行われた。アルーダ氏は解任後、「詳細を聞かされていない」「大統領は防衛対策の話をしなかった」「国防予算の話をこれからしようと思っていたのに」と、驚きの色を隠せていない。
だが、同氏解任の噂は以前から囁かれていた。それは襲撃事件の翌9日、フラヴィオ・ジノ法相がテロ行為を行った過激派が集っていたブラジリアの陸軍本部前のキャンプを解体させようとした際、「誰も逮捕させてはならぬ」と反対したと報じられていたためだ。
また、襲撃事件当日も、軍警特別部隊が襲撃者を逮捕するために現場に駆けつけた際、陸軍の大統領府警備チームが逮捕を妨害する行為が動画で拡散されて物議を醸したりしたため、責任を問う声があがっていた。
ムシオ国防相は22日、今回の解任の理由を「襲撃事件によって信頼関係にヒビが入った」と説明。さらに「大統領は陸軍本部前のキャンプの件を許す姿勢を見せていなかったし、それは今後もない。彼は真実の解明を求めている」と語り、襲撃者逮捕に消極的だったアルーダ氏への不信感をのぞかせた。
後任にはトマス・ミゲル・リベイロ・パイヴァ氏が就くことも発表された。パイヴァ氏は陸軍南東部の司令官だったが、18日に軍関係者のイベントの席で「選挙結果は尊重されなければならない」との演説を行っていたと報じられている。
パイヴァ新司令官の最初の任務としては、大統領府に残っているボルソナロ派の3人の軍人、マウロ・セーザル・バルボーザ・シジ中佐、グスタヴォ・エンリケ・ドゥトラ・デ・メネゼス中将、パウロ・ジョルジェ・フェルナンデス・ダ・オラ中佐の解任が有力視されている。
ドゥトラ中将は襲撃事件の際に襲撃者の逮捕を妨害したと見られている。シジ中佐はボルソナロ前大統領の側近で、コーポレート・カードの不正利用疑惑が浮上し始めている。