ヤノマミ族問題=連警がジェノサイド罪で捜査開始=州都の病院は既に満杯に=国際法廷への訴状提出も

重篤な栄養失調のため、州都に移送される前に点滴を受ける子供(Condisi-YY/Divulgação)
重篤な栄養失調のため、州都に移送される前に点滴を受ける子供(Condisi-YY/Divulgação)

 【既報関連】ロライマ州に住むヤノマミ族がマラリアや深刻な栄養失調などで大量死していた事が判明した事で、連邦警察がジェノサイドとしての捜査を開始。国際法廷に提訴する動きも強まったと23~26日付現地紙、サイトが報じた。
 ジェノサイドは「特定のグループの抹消を目的として行われる暴力的な犯罪行為」を指し、「ジェノサイド罪の防止と処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」では、集団の構成員を殺すこと、集団の構成員に重大な肉体的、精神的な危害を加えること、全てまたは一部の身体的破壊をもたらすような生活条件を故意に集団に課すこと、集団内の出生妨害を意図する措置を課すことなどをジェノサイドと規定している。

基礎食料品セットをもらうために列をなすヤノマミ族の子供達(CMA/Divulgação)
基礎食料品セットをもらうために列をなすヤノマミ族の子供達(CMA/Divulgação)

 ヤノマミ族の窮状は不法な金採掘を行う金鉱夫の大量侵入によるマラリアなどの蔓延、土地や川が水銀で汚染されて農作物や魚、飲料水の確保が不能となり、深刻な食料不足や飢餓、疾病状態が生じたことが原因だ。しかも、先住民による金鉱夫撤去要請や医療制度のアクセス確保の要求は3年以上無視され、診察や治療さえ受けられずに死ぬという最悪の事態を招いた。
 ボルソナロ前大統領はロライマ州での金採掘を2度も許可しており、一部専門家は無作為による当然の権利や資産へのアクセスの阻害で先住民の減少や消滅を図り、金採掘を容易にしようとした可能性さえ指摘している。
 保健省のスタッフが現地入りして現状が判明後、連邦政府は公共衛生・人道上の非常事態を宣言。法務省の要請で市警もジェノサイドと救出拒否などの無作為、環境犯罪その他で捜査を始めた。
 ヤノマミ族居住地では4年間で5歳未満児が少なくとも570人死亡。内505人は1歳未満だった。また、昨年は3万人中1万1530人のマラリア罹患が確認されている。

州都の病院に移送される子供(Reprodução FAB)
州都の病院に移送される子供(Reprodução FAB)

 非常事態宣言後は大統領などによる現地視察や医療部隊派遣、陸空軍の人道支援などが続き、半数は病人とされる同族住民の中でも重症者が州都のボア・ヴィスタの病院に運ばれている。小児病棟や野営病院は既に満杯だが、現地ではまだ、病院への移送が必要な患者が列をなしている。
 ボルソナロ政権での無作為などは前政権中から前大統領やダマレス元人権相らをハーグの国際法廷に提訴する動きを招いていた。今回の非常事態宣言や連警の捜査はこの動きを更に強固にし、加速させると見られている。

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