PL党首「クーデター企画はあった」=関係者には公然の事実?=ボルソナロは米国滞在を延長

バルデマール氏(Jose Cruz/Agencia Brasil)
バルデマール氏(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 ボルソナロ前大統領が所属する自由党(PL)のバルデマール・コスタ党首が、12日にアンデルソン・トレス前法相の自宅から発見された大統領選の結果を覆す条令の提案書に関し、「ボルソナロ氏の関係者なら誰もが持っていた」との発言を行った。その一方、ボルソナロ氏は帰国延期の意向を示している。27日付現地紙、サイトなどが報じている。
 バルデマール氏の発言はグローボ紙が行った取材で出たもので、27日付同紙に掲載された。それによると、バルデマール氏は「これまで黙っていたが」と前置きし、大統領選でボルソナロ氏の落選が決まった後、選挙結果を変えうる提案を受け取ったという。
 「たくさん送られてきた。郵便受けにも送られて来たし、政治イベントの場でも受け取った。中には私の財布の中に入れる者までいた。弁護士も私に憲法142条の適用の仕方を教えにきた」とバルデマール氏は語った。だが、「それらはいずれも法律に抵触するものばかりだったから、注意して消去した」と語っている。
 さらに、前政権の法相で現在逮捕中のトレス容疑者の自宅から見つかった緊急条令の提案書に関しても、バルデマール氏は「あれと同じものは関係者ならみんな持っていた。あれが見つかった後、私のところに多くの人が来て、『自分も持っていた。持ち続けていたら大変なことになっていた』と騒いでいた」と語っている。
 バルデマール氏は選挙後の周囲のボルソナロ派に関し、「皆が、ボルソナロ氏は勇気があり、クーデターを起こすと信じ込んでいた。だが、彼はそうしなかった。それがうまくいくと思わなかったからだ」と語っている。
 また、バルデマール氏は大統領選後のボルソナロ氏に関しても、「燃え尽きたような状態になっていた。死んでしまうのではないかとさえ思った」とし、同氏の精神状態を心配していたことを告白している。
 バルデマール氏の発言の後、トレス前法相宅で見つかった報告書を誰が作成したのか、当時の連邦政府やボルソナロ派の政治家たちにどの程度、クーデター実行の意向があったのか、といった疑問が深まる可能性が出てきた。
 一方、ボルソナロ前大統領夫人のミシェレ夫人は26日、米国からブラジリアに帰国した。そこにボルソナロ氏の姿はなかった。
 ボルソナロ氏自身の米国滞在のビザは30日で切れることになっている。8日の三権中枢施設襲撃事件以降は、米国の連邦議会の一部が強制送還を強く求めている。
 だが、ボルソナロ氏は帰国を延長し、フロリダ州オーランドにある格闘家ジョゼ・アウド氏の邸宅での滞在延長を求めている。前大統領はかねてから逮捕されることを強く恐れている。
 ボルソナロ氏がすぐに逮捕される可能性は少ない。だが、襲撃事件に加え、かねてからの選挙法違反の訴えにコーポレート・カードの不正使用疑惑やヤマノミ族の飢餓・大量死の責任問題など、同氏に対するブラジル国内での逆風はかなり強くなっている。

最新記事