はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(3)ジャニーさん「歌っちゃおうか」

カウアン・オカモトさん

 複数のモデル事務所に履歴書を送ったことで、業界関係者の目にとまった。東京のあるモデル事務所は「カウアンが歌とダンスをやりたいのは知ってるから、そういう仕事があったら言うね」と言ってくれた。だが、モデル事務所なのであまり期待はしていなかった。
 「どうせ期待はできない」。そんな思いとは裏腹に同事務所の関係者が、ジャニーズのマネージャーにカウアンさんの履歴書を送ってくれていた。
 そのマネージャーは、4人編成のロックバンド「男闘呼組」のメンバー、岡本健一さんで、同じ苗字のカウアンさんに親近感を抱き「カウアンの活躍している姿を見たいと」と思い、なんとジャニー喜多川氏にカウアンさんの履歴書を手渡した。
 すると突然「You、今から国際フォーラムまで来てくれない?」とジャニーさんから直接電話がきた。最初はイタズラ電話かと思って切った。だが、もう一度かかってきて本人であることを確信し、驚きながらすぐに東京へ向かった。初めての新幹線、初めての大都会だった。
 「バカでかい東京国際フォーラム」に着くとジャニーズのライブが行われていた。すぐ楽屋に連れていかれ、そこで一度歌わされた。カウアンさんの歌を聞いたジャニーさんは、「それじゃあ、みんなの前で歌っちゃおうか!」と一言。何かを期待されているのを感じた。
 右も左も分からない状態の中、5千人の前でいきなりジャスティン・ビーバーの「Baby」を披露することに。「あの時は、緊張しすぎて声が出なかったけど、不思議とすごい気持ちが良かった」と振り返る。カウアンさんはその日にジャニーズへ入所した。
 アメリカ生まれの日系2世のジャニーさんからすると、ブラジル日系4世のカウアンさんには、身近に感じられる何か、期待したくなる何かがあったのかもしれない。
 ジャニーさんは1931年に米国ロサンゼルスで生まれ、戦前戦中は日本で生活するも、終戦直後に米国に戻って高校とカレッジに進学した。日本に定住して芸能事務所を開いてからも相手を「You」と呼ぶなど日系人らしさを残した。
 ジャニーさんは存命だった時、ジャニーズジュニアに対して、性的な行為を強要する事があったという。カウアンさん自身も被害にあったと話す。「ジャニーさんの家へ行き、部屋まで連れていかれた。一緒のベッドに寝ている時に、ゆっくり近づかれ、被害にあった」と昨年11月、ガーシーのインタビュー(https://www.youtube.com/watch?v=4Qm4l8QdIr8)を受けてユーチューブで赤裸々に語っている。
 一方、カウアンさんも「のし上がるためなら何でもする」――全てを受け入れる覚悟で踏ん張った。
 その後もTV、舞台、コンサートなど様々な仕事に挑戦した。ジュニーズジュニアの仕事が増えても「ジャニーズは学業が優先で、高校に行く必要があった」という。カウアンさんのお母さんは高校の学費を払う気が無かった。だが活躍するカウアンさんの姿を見て学費を確保するため、ローンを組むことを決意した。
 最初は全日制の高校へ通っていたが、ジャニーズジュニアとしての仕事が徐々に増え始め、東京の渋谷にキャンパスがある通信制の北海道芸術高等学校へ転入した。(続く=松永エリケ記者)

【参考リンク】
2023年4月27日【ブラジル日報】元ジャニーズ=カウアン・オカモトが性被害告発=「現実だと思えなかった」=芸能事務所に真摯な対応求める

2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(4)「日伯股にかけたスターになる」

2023年1月31日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(3)ジャニーさん「歌っちゃおうか」

2023年1月28日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト(2)喧嘩三昧の中で心の歌と出会う

2023年1月27日【ブラジル日報】はみ出し4世がアーティストに=ジャニーズ事務所辞めて挑戦!カウアン・オカモト (1) 強い孤立感「日本人じゃない」

2020年3月12日【ニッケイ新聞】地球の反対側から世界目指す!=元ジャニーズJr.岡本カウアン=ブラジル人気番組でデビューへ

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